❖八ツ喰❖

全国食物対策駆除課は、組織内の競争を促進するために、タベモノの駆除数に応じて上位8人を、最高位の喰い人「八ツ喰」として設定している。現在この「八ツ喰」は、5年間メンバーの変化がなく、圧倒的な強さと人気を誇っている。以下はその「八ツ喰」について記述された全国食物対策駆除課のHPの引用。


【鮨喰——ミナトク・ロイド】

東京都港区所属。約100年前の「港区女子」を再現した超合金機械人形。誰よりもオシャレに気を遣っており、特注のワンピースに、真珠のイヤリングを揺らして闘う。彼女はこの喰い屋の仕事を「婚活」と認識しており「自分より強い人と結婚する」のが夢だと言っている。中毒覚醒は、寿司。


【蟹喰——麗花リーファ

神奈川県横浜市所属。中華料理に毒された中華街をひとりで治め、開拓した過去がある。おっとりとしたお団子ヘアーを揺らす見た目とは似つかない、派手な戦闘スタイルで、八ツ喰の中でもトップクラスの攻撃力を持つ。私生活は謎に包まれており「タキジ」と名付けた愛蟹を飼っているらしい。中毒覚醒は、上海蟹。


【茶喰——亜仙あせん

京都府宇治市所属。安土桃山時代に千利休が完成させた「茶の湯」の精神を、現代で引き継ぐ唯一の茶人。過去120年で会得した無駄のない動きで、敵を翻弄する。戦闘では「侘び寂び」を大切にしており、例えそれが化け物であっても、死に際は儚く見せるのが「おもてなし」だと彼は言う。中毒覚醒は、抹茶。


【串喰——夜達磨よるだるま

大阪府大阪市所属。現代日本では滅びたとされている甲賀流忍術から着想を得て、独自の戦闘スタイルを生み出した最後の忍者。背負った大きな壺には、特殊な毒素が溶かれたソースが入っており、自身の忍具を漬けて闘う。「二度目はない」というのが口癖で、一撃で敵を仕留めることにこだわりがある。中毒覚醒は、串カツ。


【家喰——佐藤 珠代】

埼玉県さいたま市所属。会社員の夫とひとりの子どもを持つ専業主婦であったが、40代に入ってからタイのBLドラマにハマり腐女子になる。その後「自分の命に変えてでも推しに貢ぎたい」という強い思いから喰い人になった。また「腐ってるのは思考だけ」と言い張る彼女の作る手料理は絶品で、万人を成長させる。中毒覚醒は、カレーライス。


【甘喰——109番】

東京都渋谷区所属。渋谷スクランブル交差点とその周辺で、計13回の殺害が行われた「東京切り裂きジャック事件」の犯人。囚人番号は109番で、現在も死刑を言い渡されている状態だが「生き物を殺すことが趣味だった」という殺害動機から、国家の完全監視下のもとでタベモノ駆除をさせる最終兵器。中毒覚醒は、ケーキ。


【米喰——まさなりくん】

新潟県新潟市所属。タンクトップに半ズボンで小学校を飛び出して、田んぼ道を抜けたところにある駄菓子屋に通う毎日を送る。大好きなガチャポンを使う戦闘スタイルは、運と確率に左右される。現段階で一生分の給料をタベモノ駆除で稼いでおり、彼が勉強しないことを誰も文句が言えない。中毒覚醒は、おにぎり。


【塵喰——骨丸ほねまる

東京都新宿区所属。2000年に入ってから始まったフードロス対策により、食べ物を失ったカラスの一匹。群れのためにゴミを探し求める中で、芽を食べて一度は死んだが、骨になってから動き出した希少個体。仲間思いの面があり「ダチに良いもんを食わせてやりたい」と日々闘っている。中毒覚醒は、不明。

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