第7話 終わりに


 体育館の檀上を処刑場にしたB先生だが、生徒たちに、そんなに嫌われている訳では無かった。

 むしろ、人気のある先生だった。

 私も何度か平手打ちをくらったことがあったが、それは私に非のあったことであり、恨んでいることは無い。

 M田くんも運が悪かっただけで、B先生を恨んでいる訳では無かった。

 古臭い言葉で言えば、熱血先生だったのである。


 C先生はどうかと言うと、多くの生徒から恨みを買っていたと思う。

 でも、実を言うと、もっと最低なE先生と言うのがいた。


 C先生は、女子には甘く、男子には異様に厳しい。

 そして、すぐに手が出る。自身の勘違いを認めずに殴る。

 ただ、男子であれば、真面目なヤツであろうが、不良であろうが、分け隔てなく殴ってきた。

 (それはそれで狂ってるよなあw)


 E先生は違う。

 私の代は、このE先生が担任を受け持つことも、何かの教科を担当することもなかった。

 たまに学校ですれ違う以外、かかわりを持たない先生だったのだが、このE先生に受け持たれた後輩の話を聞くと、これが酷かった。

 

 廊下を走っていた、掃除をさぼった、遅刻をした、忘れ物をした。

 些細なことで殴る。

 C先生と違い、男女分け隔てなく殴る。

 ただ、歯向かってきそうな不良たちには手を出さない。

 目の前で走ろうが、掃除をさぼろうが、まるで見えていないふりをする。

 ちなみに、「どうして、あいつらに注意しないんですか」と、それを指摘した後輩の友達は、めちゃくちゃ殴られたらしい。


 殴っても抵抗しない、抵抗できない、女子、大人しい生徒、小柄な生徒、真面目な生徒だけを殴っていたらしい。

 たぶん、このEが、あの当時、あの中学校で、最低の教師だったと思う。

 ただただ、当たらなくて良かったと思う。

 

 暴力的ではないけど、五教科のひとつを受け持ちながら、まったく授業をしない先生もいた。

 本当、今では考えられない。


 もちろん、良い先生もいた。

 一年の時、担任だったO先生は、クラスの私たちのことを信頼してくれていた。

 13歳の子供だったけど、O先生という大人が信頼してくれていることは分かった。

分かったら、それに応えようとがんばる。

 そんな風に指導してくれる先生だった。

 現代国語のF先生も、尊敬する先生だった。

 

 なかなかハードではあったけど、それはそれで楽しい中学校時代だった。

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 先生。指導でも体罰でも無く、それは、ただの暴力ですよ。 七倉イルカ @nuts05

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