第4話 画面もだけど 文字にも夢が・・

 少し前からボチボチ親への反抗心も生まれつつ高校生となり、自分の趣味とか夢に関心が増えながら将来のことも考え始めたころです。家では勉強の傍らで相変わらずテレビのドラマやバラエティ番組、歌番組で日本全体のいろんな情報を共有しつつ、海外の刑事・探偵ものやSF主体に空想癖が膨らんで、少し現実逃避していたようにおもいます。


 通学路の途中に本屋さんが二軒ほどあったのですが、高校近くの本屋さんはやはり参考書や辞書・問題集などが多く置いてあって、普通に読める小説などはあまりありませんでした。それに引き換え、バスターミナル近くの駅前商店街にあった本屋さんには週刊誌(平凡パンチ・プレイボーイ等)や映画雑誌(スクリーン・ロードショー等)、少年マンガ類(サンデー・マガジン・ジャンプ等)がたくさんあったのに加え、高校生でも手ごろな値段で買える文庫本が見やすい位置に並べてあったのです。


 その頃、「逃亡者」とか「事件記者」「七人の刑事」などテレビで培われたいろんな事件への手汗握る探求心みたいなものが頭にあり、その緊迫感が好きだったのです。たまたま立ち寄った駅前商店街の本屋さんに、創元推理文庫の「世界短編傑作集」の五冊組の江戸川乱歩編纂の推理小説がズバッ!と目に留まってしまい、これが全ての始まりとなりました。1冊170円くらいでしたが、全部まとめては買えなく1~2冊づつ買ったように記憶しています。


 この五冊から始まった世界は、彼びーる男の人生に大きく影響してしまい、それらの巻末に添付されいた本格推理小説目録にどっぷり浸っていってしまうことになったのです。短編集のなかには、エラリー・クイーンやアガサ・クリスティー、F・W・クロフツ、カーター・ディクスンら有名な推理作家たちと共にハードボイルドが得意なウイリアム・アイリッシュとかダシール・ハメットのほか、アーサー・ヘミングウェイなどの作家の名もありました。


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