第8話 薄い本が………

 アネットはそう言うとドアを閉じて靴を脱ぎ始めた。

 アネットは男の部屋などお構いなしと部屋の中へとズカズカ入って来る。 

 そして僕のベッドに座ったかと思えば今度は僕の部屋を物色し始めた。

 タンスや机の中などいろいろな場所を。

 

 「思ったよりも片付いててびっくり!もっと汚い 

のかと思ってたよ」 


 「失礼すぎるだろ」

 

 するとアネットはいきなり僕のベッドの下のスペースをいきなり覗き込んた。

 

 まずい。


「そこは汚いから見ちゃダメだー」

 

 そう言い僕はアネットを引っ張っている。が、

アネットは僕よりも強いのでびくともしない。

 するとアネットがいきなり出てきたかと思えば

その手には「18バツ」と書かれた薄い本が。


 「………何コレ?」

怒気をしっかりと含んだ声でそう尋ねる。


 「………」


 「た し か に 汚いね〜」


 「……………」


 「何か言うことは?」


 「すいませんでした」


 「没収ね」


 「……ハイ」


 とアネットはその手にある本を自分のバッグの

中にしまい、汚物を見るような目で僕を見ていたので


 「それで本題に入るけど、アネットは何を買いに行くの?」


 と話をずらす。

 するとアネットは少し恥ずかしそうにしながら


 「私って整理整頓が苦手なんだよ。だから服を

入れるタンスとか下着類を入れるボックスが欲しくて」 


 下着とかさっきの事もあってなんか気まずいからやめてほしい。と思いつつも僕は


 「まぁアネットは昔から部屋散らかってたしな」


 「うるさい、っていっても事実だしなぁー。

 でも整理整頓するの大変なんだよ。女子は男子と違って下着とか服の量も多いし」


 と言った。けれどさっきも言ったけど下着とか

言うのやめてほしい。


 「女子も大変だな」


 「そーだよ。ってそんなことよりライは何を買うつもりなの?」


 「僕は昨日の食堂が凄くて毎日耐えられそうにないから自炊でもしようかと食材やら調理器具やらを

買おうと思っていてて」


 そう言うとアネットはびっくりした顔で


 「えっ。ライって料理できるの!?」


 と聞いてきた。僕は


 「まぁ、父さんが

『戦場では料理を作ることができないと立派な兵士 にはなれないからな』

とか言って昔からずっと色々作らされてきたし」


 と答えた。

 だが僕があくまで作れるのは戦場などで

食べられる軽いご飯だけであって普段食べている

ご飯などの知識は乏しく作れない。

 しかしアネットはさっきの汚物を見るような目ではなく、僕を見直したような目で


 「凄!」

 

 と言った。多分勘違いしてんな。

 そう思いつつも僕たちはそのまま雑談を続けながら身支度を整えた。

 といってもアネットはもう準備万全だけれども。

 

 そして僕とアネットは最初に、市場に向かうのだった。

 


 



 


 


 




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1から鍛えて父さんみたいな英雄に ぽよぽよ @jin20100222

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