第7話 学寮

 技能体術テストが終わり、配給されたご飯を

食べて、隣の席が静かなまま午後の授業を迎えた。

 魔術具が埋め込まれた鉄砲の使い方や

今日テストで召喚された魔物の弱点など

実戦で役に立つであろう情報を色々と

熱心に教えてくれた。

 しかし僕はアネットのことをずっと考えていたせいで授業の内容が頭の中に入ってこなかった。

           

           *


 午後の授業が全て終わり、僕は急いて保健室へと向かった。途中、同級生らしい人とぶつかったが

お構いなしに走った。

 保健室に着きドアを勢いよく開けると

元気な姿のアネットがいた。

 

 「ライはテスト大丈夫だった?」


 僕を見るといきなりそう聞いてきたので少々

びっくりしながらも


 「おかげさまで無事に合格できたよ。あのときは助けてくれてありがとう。もし助けてくれなかったらあのままやられてたよ」


 「でしょ〜。体張ってよかった」


 「いや、体張りすぎでしょ!」


 とツッコむと奥の方から女性の先生が出てきて


 「ほんとに体張りすぎよアネットちゃん。

骨が三本折れてたんだから。もう無理しちゃだめよ。」


と言った。………えっ、骨折れたの?

 するとアネットは


 「は〜い」


 と、どうでも良さそうな返事をしてどこかへ行ってしまった。

 僕は先生に


 「アネットは怪我治ったんですか?」


と聞いた。すると先生は


 「くっついているけど完全には治ってないわ。

多分まだズキズキ来てると思う。数日で治るとは思うけどねぇ〜」

 

と言った。


バケモンやん。


 


 そのまま僕は保健室を出て家ではなく、

学寮へと帰った。


 寮は6階建てで1階が食堂、2階が風呂、

3階から6階までが僕たち学生の部屋だ。

 僕の部屋は4階らしい。急いで階段を登って玄関の鍵を開けた。

 部屋の中にはタンスやベットなど生活必需品しかおいてなかった。

 そして僕は自分の家から持ってきた本などを

しまって食堂へと向かった。


 食堂は人で賑わっており、僕はなんとかあんぱんと牛乳を買うことができた。

 毎日朝と夜にこんな、人でぎゅうぎゅうの中にいると考えただけで寒気がしてくるので、これからは

自分でご飯を作ろうと思った。

 僕は席の空いているところがなかったので

仕方なく自分の部屋に戻ってパンと牛乳を食べた。

……うん、美味い。

 そして浴場に行き、身体をきれいにして、

さっぱりしたので僕はそのまま寝てしまった。



 翌日、学校はお休みなので自炊するための

食材や包丁などを買おうと支度をしていると

チリーンと呼べ出しベルがなった。

 誰だろうと思いつつ扉を開けるとアネットがいて


 「今日、一緒に買い物いかない?」


と誘ってきた。








 

 




 

 

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