第6話 技能体術テスト 3 

 僕たちは魔物から逃げて約20秒が経過した。

追いかけっこは10分間逃げ切れたら勝ちなので

 まだまだ終わりは見えない。

グラウンドには障害物がなく、

 誰が今追いかけられているのかが

しっかりと把握できる。

 しかしこちらが把握できるということは相手も僕たちのことを把握できるようで、

 比較的弱そうな魔力量の低いやつから

狙って追いかけている。

 僕は大丈夫だが、僕と1つ目の

普通の体力テストでビリ争いをしていた彼、

 マカル•ケイトスは今絶賛、

魔物に追いかけられ中だ。


 火事場の馬鹿力とでも言うのか、彼の50m走のタイムからは考えられないほど高速でグラウンドを走り回っていて竜巻が起こっている。

(※50m走タイム マカル7.02)

 しかしマカルの馬鹿力でも無理だったようで

魔物に割とあっさり、捕まってしまった。

 すると魔物は、マカルのあしを氷結魔術で

凍らせ、マカルが動けなくなったところで

マカルを殴り始めた。

 マカルはヤバいとでも思ったのか

すぐに緊急脱出装置を使い、姿を消した。



 すると魔物はつぎの獲物を探しているのか

あたりをキョロキョロと見渡し始め、

僕のいる方角で顔がピタッと止まり、

見〜つけたと言わんばかりの顔でこちらへと走って向かってきた。

 僕はまずいと思い、急いで走った。

しかし石ころに躓いてコケてしまい、

足を捻挫した。

 そんな事もお構いなしに魔物はこちらへとやってきてあと数十mというところまで接近した。

 もう駄目だ。そう思い、緊急脱出装置を使おうとしたその時、


 「大丈夫!?おんぶして逃げるよ」


 と声が聞こえ、その方向を見るとそこには

アネットが。


 「こっちに来たらアネットも標的になるから

 逃げろ!」


 そうアネットに言っても聞く耳持たずに

僕を担ぎ、おんぶした。 

 (花のいい香りがする)

と思っていたのも、つかの間

 急いでその場から逃げようとすると

魔物がアネットの足を凍らした。

 僕は地面に投げ出され、アネットは足に

火炎魔術を放っているが氷は全然解けずに、

魔物とキスで来るくらいの距離まで

近づかれてしまった。

 だか、魔物はアネットを襲わずに僕の方へと

歩いてきた。

 僕は足が痛い中、必死に走ったけれどすぐに足を凍らされた。

 もう終わった。そう思ったとき、

アネットがいきなり


 「ライのところに行くなー」


 と叫び魔物に向かって爆破魔術を撃ち始めた。

 最初は防御魔術でカードしていたが

何発か魔物に当たったときに魔物は

怒りの沸点に達したのか進行方向を変えてアネットへ走っていきアネットを殴り続けた。

 僕は必死に叫んだが魔物は手を休めず殴り続けた。

 魔術を打とうにも魔力切れで何も撃てない。

アネットはテストの評価を気にしているのか

 分らないが緊急脱出装置を使おうともせず

約9分間殴られ続けた。

 テストが終わり魔物は先生が処理、アネットは

すぐに保健室へと運ばれた。


 僕は大事な人が殴られているのを

ただ黙って見ていることしかできなかった。

 

 

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