第30話 クソチビポメ柴よ、いまはやすらかにあれ







  ある日いつものように飲み屋で飲んでいるとき、美大出身の若者と知り合ったことをきっかけに、構想してから登場まで10年近くかかった香坂 凪沙は、それまでとは打って変わっていち早く、キャラクターのイメージ図が上がってきたのだ。


 エリザベス・デビッキ、ブリー・ラーソン感を前面に押し出した、ハリウッドセレブをモデルとしただけにクオリティは最高にクールだ!


 今の流行りなんて知ったこっちゃない、とことん媚びないスタイルの美女が描かれたことに私はご満悦。


 もっとも、身長190cm越えの女性となると、サンプルが少なすぎて描くほうとしては大変らしい……ああ、私の知り合いにもいないからね? HAHAHA!


 さて、高身長ヒロインがいるとなれば、当然のように逆もいるかって?


 ああ、もちろんいるさ!


 例えばそうだな、異世界ものに登場したコボルトなんてどうだい?


 体長がおおよそ1mぐらい、狐や猫のような顔をした、二足歩行に適した形態であり、おしゃれでユーモア溢れる会話が魅力だ。


 異世界において、コボルトにマスケット、またはライフルを持たせればきっと、最強の軍隊、兵士が出来るのではないかと考えた。


 魔王に忠実、小さいながらも優れたフィジカル、我々のすむ世界で例えれば、グルガ兵をイメージするとよいだろう……って、今はヒロインの紹介だって?


 ああ、コボルトもかわいいものだろ? HAHAHA!


 改めて紹介しようか、身長190越えのヒロインがいるならば、逆にミニマムな感じのロリもいる。


 かつて私の作品において登場した、ヒナコ・カザミの話をしようか。


 漢字表記の場合は、風見 日向子。


 こちらも初見で読めると信じたいが、香坂 凪沙同様、彼女の名前が決まるまでの期間は長く、無料の姓名判断でいい結果を出すまで苦労しながら、どのようなキャラにしようか、試行錯誤した。


 名前の由来については、正確には覚えていないものの、風見鶏と向日葵、あるいは北風と大陽だったと思う。


 当初の性格はそうだな、無口で冷めた感じの右にならえな風見鶏、あるいは大陽の方向へくるくる回る的なものだった。


 しかし、チビなどの身長を揶揄するワードだけはタブーであり、ひとたび彼女の耳に入ればバーサーカーと化す……ああ、よくある設定だ。


 身長は140代、まな板も装備したことでペッタンコネタもタブーである。


 更にメガネ属性も追加、ド近眼で目付きは鋭い系だ。


 性格について、更に変貌していき、書くたびに挫折を繰り返したアホなあら フォウ かもんべいべは、更なるテコ入れを加えた。


 普段は物静かであるが、めちゃくちゃ気が強く、まるでしつけに失敗して狂犬化したポメ柴をイメージし、バーサーカーとクーデレ要素のあるミックス犬だが、なにに対してもそれではキャラクターとして制御不能。


 ならばそうだな……彼女の中にある、強い正義感由来とすればどうであろう?


 己の信念を曲げず、どちらにせよ非難されるのであれば心から正しいと思う行動をする、そんな感じで友達はいないけれど自分の生き方に満足している……そんな感じのキャラクターにした。


 しかし、友達のいない彼女であるが、高校入学を機に……的な物語は書いたものの、強い正義感故の最悪な結末を迎え、後の異世界に繋がる的な世界線は……いったんリセットした。


 公開前からお蔵入り、PTSDになった彼女は、最終的に狂気的なモノローグで語るも、自分の選んだ人生に満足しながら彼方へと旅立つ流れは……これ、難しいな、色々な意味で難しいな。


 もう少し、面白い未来があるのではないか?


 そう考えつづけるも、なかなか出番に恵まれず、キャラクターのモデルとなる人物もなかなか決まらず、いまもなお再起の時を伺っているのだ───。








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