第55話 一緒に寝る?

 僕は無事にクエスター登録を完了した。


 僕は今、宿の小部屋の椅子に座っている。


 宿と部屋は思ったより狭いが、寝るだけなら十分だ。贅沢は言ってられない。


 シーフが明日のドラゴン討伐に備えて休めと、宿をとってくれた。

 お金も持っていなかったし、助かった。絶対に野宿は嫌だから。


 僕の魔石を盗んだ奴だが、シーフと出会わなかったら大変だっただろう。逆に今は盗まれた怒りはそんなにない。


 許したわけではないが、ご飯を奢ってくれたり、お金が貰えるクエストを紹介してくれたり、世話になった。


 元々魔石には興味ないし、お金がないから魔石が必要だっただけだ。クエストでお金が稼げるならそれでいい。


 ドラゴン討伐クエストは明日の早朝に出発するらしい。


 シーフが言うに、命の保証はできないらしい。


 ドラゴン討伐クエストに挑んでは何人もが、命を落としているという。先程のギルドメンバーは何回もドラゴンクエストに挑戦している猛者達らしい。


 アイツらが生き残るレベルなら大したことはないな。ちょちょっと、ドラゴンを、倒してお金を稼ごっと。


 「あっ…そういえば…」


 僕はポケットからカードみたいなものを取り出す。


 受付のお姉さんから、クエスター登録ライセンスをもらったんだった。


 詳しくは見ていないから見よう。


 そこには僕の名前や、ランクなど記載されていた。


 ランクはEと記されている。

 当然1番下のランクだ。


 ランクはE、D、C、B、A、S、SSとあると聞いた。


 ランクとか正直、興味がない。このまま人間として生きていくなら話は別だが、どうせ数日で僕は帰らなければならない。


 ランクを上げても意味がない。


 …一つだけ疑問がある。


 それは、部屋にシーフがいることだ。


 「なあ…まさかシーフと一緒にこの部屋で寝るのか?」


 僕は恐る恐るベットに横になっているシーフに聞く。


 「ああ!だって、二部屋借りるのはお金が勿体無いからな」


 シーフはこちらに寝返りをうって言う。


 「はぁ!こんな狭い部屋にか?」

 「文句言うなよ、ウチだってそんなにお金持ってないんだよ…部屋代だって意外に高いんだぞ?」

 


 それはわかるが…。


 僕が焦っている1番の理由がある。


 それは、ベッドが一つしかないことだ。

しかも、明らかにシングルサイズ。


 「じゃあ、この狭いベッドに2人で寝るってことか?」

 「まあ、そうなるわな…」


 冗談じゃない…。狭いベットに2人でなんて寝れるわけない。


 多分寝ると、ほぼ体が密着する。


 しかも、女の子となんて…無理だ。


 「ウチと寝るのは嫌か?」

 「…嫌だ…狭いし…それに…」


 「ん?あっれ〜?もしかして、ウチと寝ると興奮しちゃう?」


 シーフは何かと察したように言う。


 「ち…違う!狭くて嫌なだけだ!」


 僕は否定する。


 「別にウチは気にしないし、ユウエイがその気なら、ウチはいいよ?」


 シーフが挑発するように言う。

 なんだか、甘い、色っぽい声だった。


 何がいいよ?だ!こっちは全くいいわけない。


 僕はまだまだ現役のDTチィー牛だぞ。ここで捨てるほど甘くはない。


 だが、密着した状態だと万が一僕の理性を保てない可能性がある。


 勢いでやってしまうかもしれない。


 「あれれ?ひよっちゃった?」


 シーフがベットに座り直し、煽る。


 僕はシーフ言葉に怒り心頭に発した。


 「いいだろう、じゃあお望み通りやってやるよ!」


 僕はシーフを強引にベッドに押し倒した。


 「キャ…」


 シーフに僕はまたがる。


 「本当にいいんだな、もう僕は止まらないぞ」

 「いいよ…でも…ウチもあまり経験ないから…優しくして…」


 そう言ってシーフは目を閉じた。


 そのまま僕は性欲に身を任せた。


 シーフの服を強引に脱がし、体を食べ尽くした。


 そして…無事に僕は卒業を果たした…


 


 っていう妄想を僕は頭の中で繰り広げた。


 あくまで妄想。


 こうすることにより、今湧いている性欲を発散させるのだ。


 これが僕の秘策だ。


 「ひょってない。いいよ、寝よう」

 「…寝れるの〜?」

 「寝るさ…だって眠いから!」


 僕はシーフの隣に横になった。


 やはりベッドが狭いため、シーフと密着状態になった。


 だが、気にしない。


 僕はシーフと逆方向に向き寝ることにした。


 こうすれば、シーフに接する部分は背中だけになる。大分マシだ。


 そして心を沈着かつ冷静にする。


 無にするのだ。僕は仏様のような気分だ。

 邪心を全て捨てる。心を広く持つ。

 よし…大丈夫だ。

 

 「おやすみ」


 僕はキッパリ言った。


 「……おやすみ…ユウエイ」


 シーフもそう言った。なんだかんだ言ってシーフも眠いのだろう。


 大人しく寝てろ。


 このままシーフに襲われないといいが…


 


 


 

 


 


 


 

 


 


 


 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る