第35話 作戦会議

「さて、私達のクラスは総合優勝を狙える位置にいます。

更に一年生で総合優勝となれば、史上初の快挙となります。

ぜーったいに勝とうね!」

「おー!!」


ホームルームが始まると担任のレナ先生が某アニメのファイトだよ!のポーズをした。

当然、ウチのクラスは全員が総合優勝へ一丸となっているから全員が続いた。(男は自分の推しに目を奪われ、声だけ)


「椎葉可愛い」

「俺も椎葉にファイトだよってされてぇ」

「英玲奈やば」

「椎葉さんって、西川ななに似てね?」

「思った、めっちゃ似てる」

「まさにアイドル級のかわいさでござる!」


英玲奈の近くに座る男達があまりの可愛さに叫んでしまう。

語ると長くなるから語らないが尊い、尊すぎた。


「可愛いと言われるのは大好きだ。

もっと言ってくれてもいいぞ」


ドヤ顔を男子の方に向けるともっと来いとばかりに人差し指も向け、2回くいっとする英玲奈。


「英玲奈可愛い!」

「違う!」

「賢い!可愛い!英玲奈!!」

「正解!点入れたら言ってね」

「当然」

「俺一番デカい声で言うから!」


自分好みの応援を手に入れた英玲奈。

こういうのは意外とバカにならないもんだ。

俺も黄色い声援を受ければ、いつも以上のパーフォマンスを発揮できるからな。

レナ先生はそれをわかっているから注意しないんだろう。


「ありがとにゃん」

「うぉぉぉぉぉ!!!」

「英玲奈がNo.1!」 


少しベロを出し、ウインクする英玲奈。

よっぽど勝ちたいようだ。

にしても、可愛いな!


「俺は絶対一之瀬派」

「わかる、相良の正妻だけど、可愛いから許す」

「俺もマネージャーされたい」

「一之瀬って、犬飼ってるらしい」

「マジ?犬になりたい」


言うまでもなく絵里はどん引いている。


「相良くん、椎葉さん、先生バスケよくわからないからポジション変更あるなら前に来て、やってくれるかな」

「はい!」

「うぃーす」


俺と英玲奈は黒板の前へ。


「まず、パワーフォワード、スモールフォワード、ポイントガードは昨日と同じで翔、私、水野で行くんだけど、センターは出来れば経験者の男子にやってほしい」

「経験者いるなら女子でもいいよ」

「アタシ行けるよ、身長高くないけど」

「俺、ミニバスなら経験ある」

「中学でセンターやってたから行けんぜ、ただ三年の先輩達はエグいから活躍出来なそうだけど」


俺と英玲奈が挙手を求めると3人が手を挙げた。

手を挙げたのは薬師寺みなみ(バスケ部)、田中俊(サッカー部)、前園京(バレー部)。


「ケイ、よろしく」

「みなみ、楓、絵里と交代しながら二人に教えてやって」

「オッケー」

「頑張るよ」

「頼んだ」


俺が選んだのが前園、英玲奈が選んだのが薬師寺。


「浅野くんは?」

「相良サンキュー」


絵里が視線を合わせると浅野は俺に手で謝る。


「あぁ、気にすんな」

「?」


ウインクで返す俺を見て、首を傾げる英玲奈。


「浅野、足痛めんだよ」

「嘘、ごめん!気づかないで」

「大丈夫?」

「無理してたのか?」

「言ってよ」


絵里と英玲奈が浅野の席へ行くと海、楓は視線を向ける。


「大丈夫」

「アンタの分も勝つから、この英玲奈ちゃんに任せな!」

「あぁ、頑張れ英玲奈」


グータッチを交わす二人。


「いつ気づいたわけ?」

「試合終了してすぐにしゃがんで足に手やってたからありがとう、お前のおかげで勝てたって言っといた」


そして、ホームルーム終了後、俺と英玲奈は廊下を歩きながら話す。

正直、浅野が魅せたプライドには心が震えた。

未経験でここまでやってくれるやつは早々いない。


「言ってくれればよかったのに」

「ばーか、こういうのを女子には言わねぇのが男の友情なんだよ」

「そんなもんかねぇ」


女にはわからないし、分からなくていい。


「なんだ言って欲しかったのか?」

「べつに?」


ちょっと不貞腐れた顔なの可愛いすぎだろ。


「あっそ」

「とにかく、浅野の分も勝つよ」

「当然」


グータッチをし、背中を向け合う。

さぁ、行こうか、総合優勝へ。

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