第18話 就寝も2人で

「時雨はもう眠い?」

「そこまで眠くはないですけど寝ようと思えば寝られます」

「それを眠いって言うんだよ」

「明確な基準はあるんでしょうかね?」

「どうだろうね」


「もうベッド入る?」

「特にやることも無いですし、入りましょう」

「OK」


 西園寺さんと2人でベッドに潜り込む。

西園寺さんのベッドはとても大きく、2人で使ってもスペースに余裕があるほどだ。


「今日1日、良く頑張ったね」

「はい、頑張りました」

「偉いね。よしよし」

「……私今年で16ですよ?」

「うーん、16には見えないかな」

「……」

コンプレックスをいじり倒すのはちょっと可哀想かな。


「明日は金曜日ですねー」

「そうだね」

「そのうち2人でどこかに遊びに行きたいですね」

「今週の土日に2人で遊ばない?」

「はい、遊びましょう」


「時雨はやりたいこととか行きたい場所とかある?」

「……特に無いですね。西園寺さんのやりたいことなら何でも」


「せっかくの初デートだし、色々楽しいことしたいなぁ」

「……初デート」

「デートって単語に反応してるの可愛い」

「その単語を聞いて何も反応を示さない方がおかしいと思います」


「デートって言っても、お家デートとか色々あるからねー」

「お嬢様は外出するか、家に居るか、どちらが好みなんですか?」

「家に居た方が気楽で足も疲れないから家かな」

「この屋敷は外に出なくても足が疲れそうですけどね」

「実はそこまで移動する用事とか無いからそんなに疲れないんだよね」


「夏休みになったら色々したいね」

「夏休みは長いですし、何でもできそうですね」


「そろそろ眠くなってきた?」

「その質問をするということは、お嬢様はもう眠いということですね」

「うん、眠い」

「では、雑談に花を咲かせるのはこの辺りにして、寝ましょうか」


「やっと時雨を抱き枕にできる時間がやってきたね」

「そんなに楽しみにしてたんですね」

「うん、抱き枕とか使ったことないからどんな感覚なのかほんとに楽しみ」

「別に私を抱き枕にしても本物の抱き枕の感覚は分からないと思いますけどね」

「分からなくてもいいよ。時雨を抱き枕にできればそれだけでいいから。他の抱き枕のことなんてどうでもいいよ」


 左手を私の首の下から背中に向かわせ、右手は上から私の背中へ向かって伸ばされた。

今、私は西園寺さんに抱き締められている。その事実が私の脳を刺激する。


「これ、凄く良いかも」

「私の体で満足していただき光栄です」

「何か性的に聞こえる」

「気のせいです」


「また明日もこうやって寝たいなぁ」

「いいですよ。なんなら毎日でも」

「時雨もちょっとこの状況気に入ってない?」

「それも気のせいです」

「ほんとかな?」


「ほら、もう寝ますよ。それでは、おやすみなさい」

「(ちょっと雑にいなされた気がしなくもないけど)おやすみー」


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