第17話 結月の抱き枕
~午後6時~
まずは戻ってきた事を西園寺さんに伝えるべきだろう。
「どうぞー」
「失礼します」
「今日の分は終わったんだね。お疲れ様」
「岩永さんは教えるのが上手くてとても助かってます」
「岩永さんはほんとに何でもできる人だからね」
「私もあんな風になれたら、専属メイドとしても申し分無いと思うんですけどね」
「時雨って岩永さんの事結構気に入ってるね」
「教えるのが上手くて、優しい。私にとって理想の先輩ですからね」
「時雨が岩永さんに思ってるくらい私も時雨の事気に入ってるんだよ」
「……」
頬を赤らめる時雨。
そうそう、そういうところ凄く可愛い~。
もっと時雨を赤くしたい。
「時雨」
「はい、何でしょう」
「今日は一緒に寝るよ」
「……ふぇ?」
「嫌?」
「別に……嫌ってわけじゃないですけど」
「なら今日の夜は私の部屋に来てね」
「はい」
断れなかった……。
まだ2日目なのに同じベッドで寝るなんて……。
別に西園寺さんと寝ることが嫌というわけではないが、こちらも人間なので心の準備というものが必要だ。
洋介さんが言っていた西園寺さんのわがままな部分が今まさに顔を出していた。
今日も西園寺さんの部屋で一緒に夕食を食べた。もちろん入浴の時も一緒だった。
2日目にしてもう西園寺さんと入浴することに抵抗が無くなってきている。
西園寺さんは人と打ち解ける才能でも持っているのだろうか。
今は午後11前。もう寝るにはちょうど良いくらいの時間になった。
今日はスマホでメイドのマナーなどを調べていた。
メイドになることを受け入れたということは、西園寺さんが持っている私に対しての恋心も受け入れるということになる。
メイドとしても、西園寺さんの彼女としても、恥じるところの無い完璧な自分になる必要がある。
私が当初考えていたのより、もっと上を目指さなくてはならない。
内面的な部分の成長だけでなく、身体的な成長もそろそろ欲しいななんて思っちゃったり。
私も身長と胸が欲しい。
「お嬢様ー、起きてますかー」
「起きてるよー、入っていいよー」
「失礼します」
「パジャマ姿の時雨も可愛いね」
「もう服装関係なくないですか?」
「やっと自分の素材の良さに気づいたんだね」
「お嬢様の視点からの話です」
「私ね、時雨を抱き枕にしてみたいなって思ってたんだよね」
「抱き枕ですか?」
「時雨をぎゅーってして幸せな眠りにつきたいんだよね」
「あんまり強く抱き締めないでくださいね?」
「うん、気をつける」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます