第7話そしてささやかなお別れ…。

 この日は結局図書館の閉館まで二人で勉強をし、俺も勉強がはかどったし、敏子さんも十分に勉強が頑張れたのではないかと思うと、俺の心は安堵に包まれていた。

 

 そして敏子さんが帰り際に、俺にこう言ってきた。

「今日は一緒に勉強してくれて、どうもありがとうね。私もだいぶ勉強が進んで良かったよ。それで私、実は来週の火曜日から木曜日まで三日間、ボイラーの実地研修に行ってくるの。ちょっと三日間就労移行を休んでしまって会えないけれども、そういう予定だから別に来ないからって心配しないでね。よろしくね!」


 俺からも敏子さんに今日のお礼として、

「こちらこそ今日は、どうもありがとうございます。試験頑張って下さいね。応援していますよ!」

 そう声をかけて、俺と敏子さんは有栖川図書館から、それぞれの家へと帰った。

 

 俺は敏子さんがボイラーの実地研修から帰って来る金曜日まで、部門トレーニングが終わった後、多目的室で一人きりでもくもくと、施設閉館まで数学の勉強をして、敏子さんの帰りを待っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る