第39話 ある日の太郎の休日
【華恋さんにこれで美味しいもん作ってやらね】
そう書かれた一枚のメモ…
「…相変わらず一行で済ませるんだよな…」
そう呟くのは華恋よりひと足早く年末年始の休みに入った太郎だった。
実は今朝早く実家から宅配便が送られて来たのだが、その中身がなんと季節感を無視した野菜や定番の野菜等だったのだ。
特に筍…
とても師走のこの時期に採れる代物ではない。
だがなんでも国のお偉い学者さんに調べて貰った話では、おそらくその特異な環境のせいだろうとの事だった。
どうも温泉に利用する源泉が通常より比較的に浅い所にある為その周辺だけ地熱が高いのと、湿度や日照時間等の環境がその一帯だけほぼ一年中三月〜四月という偶然が重なっての事らしい。
ちなみに実家の近くの小さな竹林で採れるこの《山田産の冬筍》は旨味が濃厚&採掘量も少ないせいか、高級料亭等そっち方面の業界では有名らしく高値で直接取り引きされているらしい。
「久しぶりの冬筍…どう料理しようかな〜♪」
今まで一人暮らしだからと、実家からのその手の差し入れを断っていた太郎。
しかし今年は華恋もいるし、おそらく冴子も料理なんてしないだろうと思い素直にその差し入れを喜んだ。
その時…
「そうだ!猫丸社長や鬼無里本部長に、お歳暮代わりにお裾分けで持っていこうかな」
確かに奥さんがいらっしゃるからご自分で処理とかされるだろうと思い立った太郎は、早速振り分けて袋に入れるとそのまま出掛けるのであった。
その後…
流石冬筍の事を知っていた両夫妻。
その喜びようは凄かった(汗)
特に猫丸社長に至っては…
「あの幻の冬筍とな!!」
説明した途端、両手で抱きしめて台所へと一直線だった(笑)
相変わらず良い意味で親近感が持てるリアクションをする社長である。
が、奥さんはその姿を見て少々呆れていたみたいだったが(汗)
ちなみに…
鬼無里本部長の奥さんである薫はというと…
TVでこの筍の事は知っていたが、そもそも筍のアク抜き自体をした事がないらしく、太郎が帰ると直ぐにネットでその仕方を検索したらしい(笑)
そしてその夜…
「タッくんやっぱ神だし〜♡こんなに美味しい筍ご飯初めて〜最高〜〜♡♡♡」
仕事を終え帰宅した華恋は、太郎の実家から送られて来た野菜の山に驚きつつ、更に高級料亭等でしか取り扱われないなんて知らないまま、冬筍なるものを食したものだから、その旨味たるや感動のテリトリーをオーバーランしたらしく、そんなセリフの後は《おかわり》以外何も喋らなくなった(笑)
そして食後…
「残りの筍はアク抜きして真空パックで保存して冷凍したから、次は年越しやお正月の筑前煮とかの料理に使おうかね」
「え?年越しに?」
「年越しソバにこの筍を使ったかき揚げをプラスなんていかがかな?」
「やっぱタッくん神♡♡♡」
そう言いながらいきなり太郎に抱きつき羽交い締めにするする華恋(汗)
だがそんな華恋のリアクションに随分慣れてきた太郎は、キスで彼女に応戦すると…
「ねぇ華恋さん提案なんだけど、年越しは冴子さん呼ばない?それとあれだったら元旦も一緒に過ごそうか?」
「え?」
その太郎の提案に困惑する華恋。
それは思ってはいても、彼女が口に出さなかった言葉だからだ。
要は華恋なりに気を使ったのである。
「良いの?」
「だって冴子さんずっと海外だったんてしょ?華恋さんと一緒に年末年始なんて久しぶりなんだし…あ、勿論冴子さん次第なんだけとさ…まぁ〜その…自分もせっかく家族になったんだから一緒も良いかな〜って(照)」
照れながらそんな理由で提案を持ちかけたらしい太郎に華恋は目を潤ませながら…
「タッくん…」
「明日…話してみてくれない?」
「お腹周りとおんなじ位心広いし」
とんでもない例え話でぶっこんできた(笑)
「あ!最近は痩せて絞まってきたんだけど(泣)」
やはり何気に気にしているらしい誰かさん(汗)
しかし更に…
「じゃ〜今度は増毛チャレンジいく?」
止めの追加攻撃が放たれた!
「華恋さん…今夜はゴメンなさい言うまで休ませないから」
あ!
これはマジ発言である。
何故なら目がそう語っているから(笑)
「ウ!マジで…?」
今更ながら墓穴を掘ったと悟った華恋だがもう遅い…
彼女はおもむろに立ち上がった太郎に《ヒョイ》っと抱えられると、その長身なボディを彼の右の小脇にロックされたまま寝室まで拉致られて行ったのだった。
その後は文字道理逝ったっきり…
そんな彼女が(勿論意識が)帰って来たのは明け方近くだった。
当然ゴメンなさいを言う余裕は一秒も無かったらしい(汗)
しかも…
「華恋さん…これはそう言う意味で応募してたんだよね」
間が悪いと言うかナイスタイミングと言うか、次の日華恋当てに匿名で送られて来た宅配品を夕食後リビングで二人で開けて見ると…
【♡ご当選おめでとうございます♡】
そう書かれたメモが同封された最新モデルのアダルトグッズ《LOVEMACHINEマークII》が入ったいたのだった(笑)
要は女性用アダルトグッズである(汗)
※当選は商品の発送をもって返させて頂きます(笑)
かなり昔…
そう…
まだ太郎と暮らす前、レディコミのプレゼントにふざけて応募していた事を今まで忘れていた華恋は、滝の様な変な汗をかきながら否定するが無駄だった。
「あ、いや…そうじゃ無いし…結婚前にふざけて応募しただけです…ハイ」
「ふ〜ん…やっぱり物足りないんだ〜〜」
追い詰める太郎のその瞳は、少し面白がっているようにも見えた。
それを本能で察した華恋は、凄く小さくなって壁側に追い詰められていく。
「そ、そんな事ぜ〜〜ったい無いし!サイズ感パネェ〜だし!逆にこれ以上だと壊れるかもだし!!」
「ではリクエストに答えて今から実証実験といこうかな♡」
わざと聞こえないフリの太郎♪
そんな怯える華恋を再び《ヒョイ》っと抱えた太郎は、その長身なボディを今度は左の小脇に抱え直しロックすると、その当選品を右手に持ちなが寝室まで向かうのであった(汗)
勿論、結果は昨夜の三割増しになったのは言うまでも無い…
本当に中年男子の性活恐るべしである(汗)
…続く…
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