第37話 クリスマスはサバトの予感♡
「え、じゃ〜皆二十五日は予定ないん?」
「あるわけ無いじゃん」
「同じく…」
「聞かないでよ(泣)」
それはクリスマス用の派手なイルミネーションに街が彩られたある日の事である。
ブティックHANAKOもクリスマスセールでてんてこ舞いの忙しさの中、ふと何気に皆のクリスマスの予定を聞いた際のそれぞれの反応だった。
凛夜は二十四日は親子でクリスマスらしい。
茅野は家族が営む中料理店で常連客と一緒にパーティーだそうだ。
麻音は推しのアイドルのクリスマスライブに行った帰り、家族とディナー。
特に麻音はその日が休みだからか、今からウキウキである。
と言う事で…
三人共二十五日は予定が無い…
ちなみに学生時代、何時もなら一人暮らしの華恋の家に集まって騒いでいるのだが今年はそうはいかないだろう。
つまり華恋以外 《彼氏・ボーイフレンド・恋人・愛人・ペット(あくまでも人族)》がいないのである(汗)
まぁ〜決してモテない訳ではないのだが…
縁がないというか…
学生の頃から男の影が皆無だった。
凛夜はその容姿から男共から高嶺の花と思われ…
茅野は男っぽい性格から百合の噂が後をたたず…
麻音はやらしい目で見る男達の熱視線が無理で…
要は高校に進学して以降、色んな意味で華恋以外フリーなのである。
そして…
「私も予定が無いんだけどな〜」
何処で聞き耳を立てていたのか?
何気に冴子がこの会話に割り込んてきた。
「あれ?何時もならボーイフレンド達と一緒じゃん」
「あら日本にはいないわよ♪それにこっちに来る時皆捨ててきたから♡」
だそうだ(汗)
流石と言えば流石である。
「じゃ〜去年は?どっかに出掛けてたじゃん」
そう…
華恋の言う通り、かねてから周囲に公言していたのだが去年の春正式に日本に拠点を移し華恋と暮らしていた冴子なのであった。
つまり華恋はそれまで一人、鬼無里夫妻の助けを借りながら日本で暮らしていたのである。
「クリスマスイベントの打ち上げに呼ばれててそっちに顔を出す為に出掛けてたの」
「今年は?」
「去年その主催者が酒の勢いでちょっかいだしてきたから病院送り♡今年は間違っても呼ばないでしょうね(笑)」
何気に笑い事では無いと思うのだが…(汗)
ほら、皆それ聞いてドン引きしてるし…
その日の夜…
「二十五日?華恋さんさえ構わないならここでパーティーしても良いよ」
「え!本当♡」
夕食の後、華恋はここでパーティーをしても良いか太郎に相談した。
すると案外あっさりと承諾した太郎。
何でも最近仕事が忙しくてきちんと料理が作れずフラストレーションが溜まっていたらしい。
「その頃には仕事も一段落つくから定時で帰れるだろうし、次の日はお店定休日でしょ?雑魚寝見たいになるだろうけど何なら泊まっていってもいいから」
「でもタッくん次の日仕事だし…」
「大丈夫ですよ♪二十六日と二十七日は大掃除と得意先への挨拶周りが殆どですから」
「え?タッくん…何気に年末年始のお休みは何時からなん?」
「あ〜言ってなかったですよね、今年は長いですよ♪だって二十八日から五日までありますから」
確かに今年猫丸産業の年末年始のお休みは、二十八日が土曜日にあたるせいか何時もより長い。
ちなみに華恋の方は三十日から三日までである。
だからか…
「は〜〜?絶対長いし!え〜と…九日もあるじゃん!それってズっこくない!?」
わざわざ指を折って数えなくて解ると思うが…
まぁ〜その気持ち解らないでは無い(汗)
「たまたまですよ♪それにサラリーマンですから♡」
「それはそうだけど…」
なんだか負けた気がしてならない華恋(笑)
「逆にね、だから二十五日までとてつもなく忙しいんですけどね(笑)」
「フム…納得だし…確かに最近帰りが遅いもんね」
「スミマセン」
太郎はそう言うと今までの彼からは想像がつかないリアクションをとった。
なんと華恋に近づいて引き寄せると頬にKissをしたのだ!
「!!」
「らしくない事しましたけど(照)」
驚いて固まる華恋…
そして照れる太郎…
個人的には石を投げたくなるシーンである(笑)
すると…
「…カッケ〜し♡何どうしたん?まさか浮気を誤魔化してるん?」
冷静になり変な嫌疑をかける華恋(汗)
「だ〜〜〜!そんな事ある訳ないでしょ!何でそう思うんですか!?」
「雑誌にそう書いてあったから」
なんでもそうらしい…
でも彼女がそれを鵜呑みにするなんて…
女性週刊誌の説得力恐るべしである(笑)
「もう〜自分的にそういうのしてたら直ぐバレるでしょうが〜」
「あ〜確かに♪タッくん誤魔化すの下手だもんね」
「その前にそんな度胸ありませんから」
「そうそうヘタレだもんね〜♪」
それは確かだ…
でなければとうに結婚してるし離婚もしてるかもしれない。
「…ハイ、反論の余地ないです…」
「ウフ♡」
否定する根拠も見当たらず、自分でそう言って落ち込む太郎(笑)
そのいじける姿に母性本能をくすぐられる華恋なのであった。
…続く…
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