ガラクタたち


 ガラクタたち



瓶の中で鈍ってく硬貨たち

錆び付いた思い出の塊

プリンターは淡い砂色の札を吐いたきり動かない

世界樹になったビルの上では

印を負ったロボがまだ繰り返す

ダイエットコーラの謳い文句


電波の御手とノイズの反復

拒否された救いの呼吸

音も無く転がる世界で

エニグマだけが使命を全うしている


雨さえ降れば信号機が一緒に泣いてくれる

赤い瞳からポタリと 一定の間隔で

燃えて灰になろうとするから

機械は熱を増していく


軋む手でロープを手繰り

情報を背負って歩く

全てを包む暗い炉の中で

一つになることを願っているから


青い空と田園が

洗剤で爛れている

溶け出した塗料の匂いに漂う

いつかの嘘

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る