車窓より


   車窓より


  遠い山並み

  荒れた畑にカラスが止まり

  囚われの足音を聞いている。

  君は故郷を憂いている。

  駅舎は燃え落ち

  ひびの入った信号をぶらさげて

  踏切は動かない。


  荒れた野に突き刺さった塔のことを考えている。

  白い木々、浅黒い花々、古い栄華を空しく誇り続ける刀。

  西の空で輝く鐘の音が

  君を夢から引き戻し

  君は故郷を憂いている。



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