世界と世界の狭間にある宿場。あるとき、その宿場に大きな卵を背負った青年が現れる。宿場の主人の前で青年はあらゆるものを食べ、卵の栄養を摂取していく。どんどん大きくなる卵の行く末とは……?食事とは、世界の一部を自分のなかに取り込み、自分そのものとしていく行為。卵のために絵画や論文までを食す青年、彼が取り込んでいった世界は、その卵にどのような結末をもたらすのか。宿場の主人の目線で淡々と語られるのは青年の物語なのか、それとも……。
宿屋を営む親父さんの目線で紡がれるお話です。やって来たのは、背中に巨大な卵を背負った青年。それを育てていると彼は言うのですが……。淡々とした様子で物語は進んでいきます。青年が卵を背負っている謎。食べる時も風呂に入る時も、寝る時も、卵を背から下ろさない謎。それらが徐々に明らかにされていく語りには、不気味でありながら、どこか達観した優しさが感じられます。世界が違えば、常識も違う。自分の通常と、彼らの通常は違う。そんな当たり前のことを、ふと、そうだなぁと考えさせてくれるお話でした。お薦めします(^^)!
ひきつけられる話で目が離せませんでした。結末までの描写が素晴らしかったです。
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