第5話 教室でエッチなんてしないからね♡
家に帰ると、お父さんが残業で8時過ぎに帰ってくるから、早くお風呂に入りなさい、といつもの調子で母親に促され、急いで風呂から出ると、父親が帰宅してきたので、高校1年生の姉と4人で晩ご飯を食べていると、たまたまつけていたテレビに、東コレの特集が放送されていて、カッコイイモデルさんが奇抜な服を着て歩いていた。
ファッションに敏感な姉が、食い入るように画面を見ていたが、途中で少しグラマラスなモデルさんがランウェイを歩いてくると、初めて嫉妬混じりの声を上げた。
「やっぱりこっちにも出て来ちゃったか。」
「どうしたの亜由美?あんたがそんなこと言うなんて珍しいね。」
母親の合いの手もそっちのけで画面を睨みつけている姉は、高校でもモテていて、かなり上位の人気を男子から集めている美貌の持ち主なのだが、唯一の欠点は胸がBカップしかないところだった。
自分より見た目がきれいな人の胸が大きかったりすると、必ず嫌味を言ってくる。
このモデルさんもいい迷惑だろう。YOKOとテロップで紹介されたそのモデルになんとなく見覚えがあると思ったら、僕は思わず
「洋子さん!」
と大きな声を上げてしまった。
滅多に声を発しない僕がモデルの名前を叫んだせいで、姉が更にイラっとしている。
「なんであんたがYOKOの名前で驚くのよ!」
「いや、なんとなく知り合いのお姉さんに似ていたから。」
「他人の空似でしょう。まったく驚かせないでよね。」
まさか、さっきまで一緒にいたキレイな女性がYOKOさんで斎藤洋子さんなのか。
それとなく明日聞いてみよう。いや、気になるから、さっき教えてもらった裏アカにDM送ってみよう。
さっそく洋子さん宛にDMを送ってみると、すぐに返信が来た。
愛するタカシさんへ♡ 明日お家に来てくれた時にお話ししようと思っていたので、決して隠していたわけではありません。気分を悪くされたのならごめんなさい。
でも、私のこと知ってくれたということは、東コレのランウェイ見てくれたのかな?
私だけちょっとぽっちゃりしてるから、目立ってたでしょ。
胸が大きくなってからなかなか痩せられなくて。
タカシさんに揉んでもらったら、少しは引き締まるかな?
えっ、痩せなくていいって? ありがとう♡ 私も今のあなたを愛しています♡ ラブラブだね、私たち♡
じゃあ、また明日♡ おやすみなさい♡ チュ♡
洋子さんをネットで検索したら、結構な有名人だった。記者にスクープされないよう気をつけよう。
翌朝、いつものように7時半に目覚ましをかけていたのに、母親が慌てて僕の部屋に入ってきたから何事かと思ったら、母の後ろにモデルのYOKOさんが立っていた。
「どうしたんですか! 洋子さん! こんな朝早くに!」
「え~と、一応ご両親様にご挨拶しておかないとと思いまして、勝手に上がり込んで来て、もしかして迷惑でした?」
「いや、迷惑だなんて、むしろ嬉しかったけど、まだ僕パジャマ姿だからすぐに着替えるね。」
「お着替えお手伝いしましょうか?」
「ちょっと洋子さんですか? あなた息子のタカシとはどういったご関係で?」
「これは失礼いたしました、お母様。私、斎藤洋子と申しましてモデルをやっておりますが、タカシさんと運命的な出会いを昨日致しまして、結婚を前提にお付き合いさせていただきたくご両親様から同居の許可をいただきに参りました。」
「あなた本気で言っているの?」
「ええ、本気も本気です。」
「ちょっと待ってください。タカシはこの人と同じ気持ちなの?」
「うん、僕も洋子さんとは運命的だと思っているよ。」
「そう、わかったわ、とりあえずあんたは小学生なんだからお友達ということで、そこからスタートしてちょうだい。」
もう面倒くさくなってきた。僕は母親に触れながら、僕の言うことやることは絶対だから逆らわないように!と念じると、少し時間がかかったが、母親が僕たちの交際を快く認めてくれた。
母親が一歩引いてくれたので、洋子さんとモーニングキスをしながら着替えを手伝ってもらい、一緒に朝食を食べた。
7時20分に家を出て行った父と姉に出会わなくて良かったと思いながらも、家族の前でこのイチャラブを見せつけるのはどうかと思ったので、洋子さんと僕が今日から一緒に住むことを母親に了承させた。
「今日は雑誌の仕事が1つだけだから、小学校の近くで待ってますから、車で一緒に帰りましょ♡」
「うん、ありがと♡ 学校の近くのコンビニで待ってて♡」
「はい♡ 未来の旦那様♡」
「チュ♡」
洋子さんに小学校まで車で送ってもらい、お別れのキスをして車を降り、正門に向かう。
教室に入ると、僕の椅子に高嶺百合子ちゃんが座っていた。
僕なんかの椅子に校内一の美少女の高嶺百合子ちゃんが座っていると、教室がざわめいている。
「どうしたの、百合子ちゃん♡ 僕の椅子に座って。」
「おはようございます♡ タカシ君♡ なんか好きな人の椅子って座りたくなっちゃうね♡」
可愛らしくはにかんで言う百合子ちゃんの天使の微笑みに撃ち抜かれてしまい、悶絶していると
百合子ちゃんが僕の手を優しく握り締めながら、昨日のことを謝ってきた。
「タカシ君♡ 昨日は途中で寝てしまって本当にごめんなさい。次は絶対寝ないように頑張るから、許して♡ ね♡」
「僕の方こそ、先に帰ってしまってごめんね。でも、あの後、いいことがあって、僕、あのマンションに住めることになったんだよ。今日、帰りにそのまま引っ越しするんだ。」
「えっ? あのマンションに住むってもしかして久美子先生と一緒に暮らすってこと?」
「ううん、それがね、たまたま昨日マンションのエントランスで家まで送ってくれる人を探してて、偶然通りかかった女性に声をかけたら家まで送ってくれたんだけど、その人と仲良くなって一緒に暮らすことになったんだよね。」
「そうなんだ。悔しいな。タカシ君が他の女性と暮らすなんて嫉妬しちゃう。」
「ごめんね。でも7階に久美子先生がいるから、そこで3人で会ってもいいし、9階の部屋に直接会いに来てくれても大丈夫だと思うよ。」
「そうかしら。」
面倒くさくなってきたので、百合子ちゃんに人差し指で触れながら、
僕に恋人が何人できようが気にしないで明るく楽しく恋人でいるように!
と命じると、一瞬空白の時間があったが、すぐに百合子ちゃんに笑顔が戻ってきた。
「タカシ君に彼女が何人できても、私は私だから、気にしないことにしたわ♡」
「良かった。そうでなくちゃ。」
百合子ちゃんの頭を撫でてやると、嬉しそうに微笑んでくれて、お礼にキスしてくれた。
担任の久美子先生が教室に入ってきたので、百合子ちゃんが別れを惜しむように席を離れ、自分の席に座った。
今までの数分間、昨日までの僕からは考えられないような、みんなには信じられないような行動をとっていたため、クラス中の生徒が唖然としている。
僕はこの事態を治めるべく、仕方なく能力を使うことにした。
立ち上がり、久美子先生のところまで行き、僕の話を聞くように言ってもらえる? と耳打ちする。
「皆さん、タカシ君が話したいことがあるそうだから、1度目を閉じてくれるかな。」
皆が目を閉じている間に、クラス全員に順番に人差し指で触れながら、僕に対して心から絶対服従するように命令していった。
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