囁き・5

 新年あけましておめでとうございます?

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 新たな1年が始まった事への挨拶の言葉ね。少しづつこの世界、この国の風習にもだいぶ慣れてきたわよ。


 私の世界では「新年」を祝ったり、年末をしのぶ事はしないわね。唯一、祝うとすればエターナリンク星系同盟連邦の首都星しゅとせいエルメローナ・レスティアーナの衛星、ロレーナ・シャルレアン・オルトリンスのさん衛星が30年周期で直列する、アルテローナさいを祝う事くらいかしらね。なんでもが授かるとかで、その時期はみんな大騒ぎするみたいね。


 私はまだその祝福は経験していないので、真偽のほどは、わからないわね。


 それにしてもよ……この人混みは、なんなのかしらね。くらい、ゆっくり休めばいいのに、この国の人間達は面白いわね。初売りだとか福袋だとか、非現実的な催しに行列したり、商品を奪い合うなんて滑稽で見ていられないわよ。


 まったく騒々しくて情緒もあったものではないわね。家族団らん、家でゆっくりするのが、この国のではなかったのかしら?


 いつの間にかせわしない人種になってしまったわね。


 しょうがないから振袖着て? なんていうこの国の行事につきあってあげたわ。


 ま、まぁ、甘酒? おしるこ? おみくじ……悪くないわよ。甘いものは認めてあげるわ。


 さて、拠点に帰ってカレーでも作ってでもイッキ観するわ。


 少しは休みなさいよ……日本人。


 さぁこの次も、この世界のダメなところ

 あなたのそばで……


 囁いて……ア・ゲ・ル♡




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 アンドロメダリアン・エターナリンク星系同盟連邦惑星……ハイネロイヴィア宙域


 強襲揚陸巡洋艦……アルテミア


「星系パトロール中、呼び出してすまない」


「いえ、問題ありません提督……それで、どのような緊急指令ですか?」


「実はエリム・ノイヌーヴS級特別執行官が、星系間テロリストを追跡、戦闘中に消息不明となった……おそらく、ダークフォールに呑み込まれたものと推測される」


「それは確かな情報ですか、提督……」


「彼女のエターナリンク・ファイターから発信された、エマージェンシーコールの微弱な信号をキャッチする事に成功した。既にこの星系には彼女は存在しないと我々は判断した」


「それで、エリムはどこに……」


「信号をトレース、解析した結果、この星系から1億光年離れた、太陽系という星系に彼女はいるかもしれないという結論に達した」


「噂に聞く、別の人類が生息しているとされる辺境星系ですか……足の速いアルテミアの星系間航行をもってしても、遠いですね……」


「無理は承知している……キミ達も彼女とはアカデミーで競い合った仲だ……このまま彼女を失うのはよくは思わないだろう。それに、我々にとっても優秀な彼女を失いたくはないのだ……」


「はい……提督……」


「では統合参謀指令部から正式な命令だ……」


「アーネ・イリア・クロイツェルンS級特別執行官及び、アーネ・リリア・クロイツェルンS級特別執行官はただちに、エリム・ノイヌーヴS級特別執行官の捜索及び救出の任務を現時刻をもって命令する……これは最優先事項であり、S級極秘命令である」


「了解しました提督……ただちに星系間航行シークエンスに移行、エリム・ノイヌーヴS級特別執行官の捜索及び救出に向かいます……」


「頼んだぞ……幸運を祈る」




「なんだよエリムのやつ、任務でつまづきやがって……あ〜あ、辺境星系とか超メンドーだなぁ〜……」


「そう愚痴らないでリリア……エリムとは幼い頃からの仲じゃない……友人でもあり、ライバルでもある彼女を放ってはおけないわよ……ここは、私達クロイツェルン姉妹がエリムを助けてあげましょう……それに、星系パトロールにも、ちょっと飽きていたし、辺境星系も面白いかもしれないわ……」


「まぁ、イリアがそう言うなら……」


「エリムを早く見つけて、彼女のダメなところ……その耳元で……」




『『囁いて……ア・ゲ・ルの♡』』

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