診察(診療所)

 翌朝。


 やっと吐けました。

 未明、冬の遅い日の出のはるか前に。


 それで落ち着いたでしょうか。


 幸い、土曜日。

 でも土曜日だと、かかりつけ医では午前しか開いていない。

 朝一番に駆け込もうとしましたが、診察券見ると9時から。

 ちょっとした絶望でした。

 もっと早くに開くかと思っていたものですから。


 ウォーキング始めて10年。それが体を丈夫にして風邪もなく、めまいで倒れることしばしばでも、それこそ寝ていれば治るもので医者とは無縁の生活でしたから。


 ベッドに戻る?

 それはかえって辛い。

 昨夜のもだえ苦しみを思い出すと、体を伸ばして寝るのが怖い。


 20年は老け込んだような顔で、お腹さすりつつ、向かったのは椅子、ゲーミングチェア(安物でも、リクライニング付き)。

 昨日の午後、背もたれ倒してもたれていたら楽だったのです。

 

 そこでかかりつけ医が開くのを待とう。


 それまでの時間がまた辛いけれど。

 もうここまで来たら……。

 朝日も昇り始め、徐々に明るくなっていく、気持ちもなんだかそれにつれて上がったような。

 それがまた判断を遅らせました。


 夕べから飲まず食わず。

 食べ物どころか、水さえも口に入れる気にさえならなかったのですから。

 あとに判明しましたが、それもまた逆効果だったのです。


 少し寝られました。


 それで腹痛も治まった、すっきりした?

 このまま寝ていれば治るかも?

 いったん医者よりも寝ることを優先。


 医者嫌いもありましたけどね、そこはやはり。


 すっかり日が昇ってから、母が心配して覗きに来ました。

 それも鬱陶うっとうしい。

 とにかく寝かせてほしいと、追い払いました。

 悪いけれど、もうほっといてくれ。

 頭痛もして、それもひどく、動くのもいやになっていて。


 寝ては気分良くなったか、起きればまたしんどくなるかと、繰り返し。


 11時、またも頭痛、腹痛、うずくように。

 もはや限界。

 これはさすがに医者へ行くのをためらっている場合じゃない。

 今なら、ためらうことは何もない。


 一応、電話してから。

 12時に来てくださいと、それまでの時間も長く感じたものです。


 ようやく医者に行けば、今はコロナとインフルエンザばかり。

 真冬にも一人、窓開けっぱなしの予備の診察室へ通されました。

 その日は異常ともいえるくらいの気温の高さで良かったのですが。


 熱はない。

 咳もない。


 看護師さんの問診でもそこで首をひねられました。


 その時点で体のしんどさはあったものの、受け答えも出来ていました。


 かかりつけ医の診察はもちろんお腹の触診。


 膵炎すいえんか、腹膜炎ふくまくえんか。


 やはりそれを言われます。


 それほど辛いならすぐ、病院行かないと。

 かかりつけ医(町の診療所)では検査したところでその結果は明日にしか出ない。重大な時はすぐに大きな病院に行った方がいい。そこでなら検査結果も早く出る。

 そうも言われました。


 その後、紹介状を書いてもらい、今度こそ母の運転で大きな病院へ。


 車に揺られるのもきつかったぁ。

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