5類移行からもだいぶ経って それでも誰かの何かの役に立つなら

前兆

 2023年12月半ばのことでした。


 午後。


 冬至もまだ先。冬の日が早く落ちていく。

 15時の部屋のなかはもう薄暗く。

 気持ちも沈んでいくよう。


 何か、何かが、おかしい。


 午前の内からどうも気が重かった。

 何故かは分からないですが、不安感が四方から迫ってくるような、絶望感が重くのしかかって打ちひしがれるような。


 私の午後は創作時間です。

 なのに、頭が一つも回らない。

 大事な「カクヨムコン」あり。

 新作短編二つ目、それに取り掛からないといけないのに。

 Xmasに合わせた物語でもあるのに。


 意味もなく気持ちが落ち込むことはある。

 今日はそれかもしれない。

 そんな日かもしれない。


 仕方ない。


 カク出来ないならヨムしよう。

 それで皆さんから力をもらおう。

 そこから気持ちを盛り上げていこう。


 異変はしかし、心をくじくように進む。


 お腹がしくしく痛みだしたのです。

 じくじくといってもいい。

 あいたたた……。

 冷えたか?

 この季節ではありえないほど暖かい日が続いていましたが、油断したかも?

 精神的なものかもしれない。気が急いてしまって。


 耐えられないほどではないけど、やはり集中できない。


 日は、落ちていく。

 灯りをつける気力もなくなっていく。

 ストーブ強くして部屋の温度上げるも、腹痛はひどくなっていくばかり。


 きつい。

 辛い。

 顔がしかむ。

 不機嫌にもなっていく。


 上からも下からも吐き出せないのがまた辛い。

 下したのではなく、便秘?

 踏ん張るのがそもそも辛いけれど。


 日が暮れる。

 部屋のなかはまっくらで。


 夕食。

 食欲全くない。

 口にするのもいや。

 見るのもいや。

 一口、二口、どうにか口に入れたけど、腹痛はどんどん激しくなるばかりで。


 もうダメ!


 限界!!


 食事もとらず、布団に入りました。


 ホラーみたいな入りでしたが、実際はホラーなんてものじゃなかったです。

 この世の終わりが来た感覚。

 危機一髪よりももっと強く。

 死の予感さえ漂うことに。


 眠れない。

 お腹痛くて、痛くて。

 刺すようなではなく、握りつぶされているような感じ。

 ひどい筋肉痛が内臓で起こっているような。

 寝て、体が伸びるとまた痛い。

 仰向け。うつ伏せ。横に。

 あらゆる寝姿試すも、全然良くならず、むしろ悪化していく。


 うめき、時にわめく。

 真夜中にも。


 冬の夜に脂汗がにじんでいました。

 もだえ苦しみ、のたうち回る。

 まるで陸に上げられたウナギのように。

 吐いたら楽になるかとトイレに何度も行ったのですけど、全然吐けない。


 死ぬのか?

 本気で思いました。

 静かな夜の闇がやけに怖かった。


 スマホで検索。

 これは何だ? と。


 熱はなし。

 それがまたおかしい。


 真っ先に盲腸を疑いましたが、右ではなく、みぞおちから左にかけてが痛い。ねじられるような、潰されるような。ずたずたに引き裂かれるような。


 膵炎すいえん

 腹膜炎ふくまくえん


 早く病院に行けと、最終的にスマホの画面には出ました。


 どうやって?

 

 この時間では救急病院しか対応してくれない。

 自分で車の運転は危ない。

 救急車呼ぶようなことでもない、意識はあるし。

 119番の前の「♯7119」にかけるのもなんかためらわれる。

 タクシーは高くつく。

 同居の両親を起こすか?

 いや、高齢の二人に頼るのも……。


 いろいろ考えてしまって、時間は過ぎるばかり。

 苦しみは増すばかり。


 結局、「朝一番に、かかりつけ医に行こう」と。


 そう判断してしまいました。


 それは叱られることになったのですけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る