第10話 奇跡

 何か眠くなってきた…随分食べて、お袋の料理美味しいんだよ。お腹いっぱいで眠れるって最高の贅沢だ。


【親父、お袋、俺ここに戻ってきていいかな?】


二人してびっくり!!


【お前、どうしたんだ?やっと自由〜とか言って、喜んでいたよな?何かあったか?】


【そうよ、やっと始めたのに、一人暮らし】


【だって心配じゃん…親父とお袋。俺がいれば何かあってもさ】


親父はムッとして、


【そんな心配はいらんぞ!!そんな理由ならお断りだ。お前の人生の足枷になるつもりはない!!】


お袋も、


【あんたの自由でいいんだけとさ、一人暮らしの経験って大事だからね。でも戻るっていうなら…】


【甘い!!お母さんは甘い!!そんなんだから…】


【お父さんこそ、何かあれば息子頼るくせに!!】


あーあ、夫婦喧嘩始まったよ~


【解った!解った、俺も自分の甘さに気がついたよ。なし!この話はなし!とりあえず風呂入るね】


 喧嘩させるつもり無かったんだけどな。両親の大切さが解ったから、戻ろうもしただけなんだけど。


今日は疲れたよ…早く寝よ。



……………………………………………………………



今日、もう一度、海に行ってこよう。


晴れてるし、寒くても、海が見れれば大満足!!


 深層心理の世界で出会えた女性のことは、もう忘れよう。俺の勝手な理想像だ。



……………………………………………………………



この海は、何故俺の記憶に残っていたんだろう?


 波の音、海岸の景色、さほど他の海と変わらないのにな。


寒っ!!誰もいない…この寒さじゃ当たり前だね。


【寒っ!寒寒寒!こんな日に海なんて!!!】


誰?後?俺に話しかけてる?


【もー、無視しないでください!!お兄さん!】


 あー、また会ったね。この娘、民宿手伝いサボってるな…


【民宿は?手伝ってるんじゃないの?】


【暇〜今日お客様ほどんどいないもん。夏にならないと忙しいってならないよ。あっでも、クリスマスは毎年結構忙しいかな】


【そうか…で、何しにきたの?こんな寒いのに】


【それひどくない〜?お兄さんいるかな〜って来たのに…お姉ちゃんじゃなくて残念でした。それとこれ、プレゼント🎁】


【何?クリスマスプレゼント🎁?少し早くない?】


【とりあえず開けて!】


 なんだろう?メモにアドレスと電話番号?見慣れない始まりの番号だけど、これ海外か?それと何故かマフラー?俺に?


【お姉ちゃん海外にいるんだ。年末帰ってくるけど、だから会いに来てよ。それ連絡先だから。お姉ちゃん忙しくて恋人いないし、それは私もだけどね。出会いってなかなか無いし…あと、それは買ったんだけどマフラー。寒いでしょ?】


【ありがとう。マフラー暖かいよ。出会いって民宿の手伝いでは、そうそう無いものか…】


【そう…出会いって望まないとなかなか無いもんね。待っていては駄目だね。率先して動かないと】


【待っていては…なるほどね。確かに】


【お兄さん?】


【これは必然的な出会いなのかな?】


【えっ?】


【お姉さんは深層心理の世界の理想像かも。でも、君は現実の世界に、目の前にいる。こうして会えたからね】


【お兄さん、それって?どういうこと?】


【俺で良ければ彼女になってほしいな】


【お兄さんの彼女?】


【うん。駄目かな?】


【凄く嬉しい!!でもさ、いつかお姉ちゃんに会って気が変わらない?お姉ちゃんかなり可愛いけど?】


【大丈夫。お姉さんは理想像だから】


【何か、何か、ムカつく!!とってもムカつく!!】


【ごめん、ごめん。俺は君を選んだってこと。だからね、このプレゼント🎁はマフラーだけもらっておくね】


【じゃ、クリスマスには私にも何かちょうだい。サンタクロースがくれるのとは別に】


【プレゼント選ぶの慣れてないけど、何がいい?】


【もう〜解ってないな~ここに入れてよ。お兄さんのアドレスと電話番号】


あー、そうか!!でも今の時代でメモって…


【スマホを貸してくれれば、入れておくよ】


【それじゃ思い出に残らないの!!鈍感!!だから彼女いないんだよ!!私がいて良かったね。寂しくないクリスマス🎄になるね】


【何か、言いたいことズバズバ言われてる気がする…彼女っていい響きだね。クリスマスは民宿に行くよ。予約頼むね】


【行っておくけど、私はお兄さんの理想像じゃないですからね~】


思い出の海に来て、新しい思い出が出来たよ!!


クリスタルのお陰だね。おじいさんありがとう!!


……………………………………………………………



※そうじゃの〜わしのお陰じゃ。わしと同じようにこの世界での出会いを選んだんじゃな!!わしは幸せになったぞ。お前さんも幸せにな※



〜〜〜〜〜〜〜〜〜終わり〜〜〜〜〜〜〜〜



ご愛読ありがとうございました。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

優しさの先へ ラグランジュ @space-time

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ