第6話「天使悪魔」

金輪際

不幸を誓った

幸せは壊れやすい

不幸は人に疎まれない

だから僕は不幸を誓い

一緒になる事を望んだ


神様がいれば

泥を投げ

神社にはナイフを添えた


そうして悪事を働くいたが

縁起が悪いことをしても不幸が来ることはなく

神などただの置物に過ぎなかった


人とは望むほど

手にすることができない

妹がいれば幸せだった

だから喧嘩しても

笑ってしまって

なんだかんだいい時間になってしまう


でも幸せを狙うものはいる

不幸は誰も奪おうとしない

だから不幸になる必要があるんだ


なのにどうして

こんなにも充実してしまうのだろう

素っ気ないそぶりをしても

心じゃ愛してる


だから僕の優しさが

付け込まれるテロの材料になるから

早くもっと傷つけて

どん底の生活をしないといけないのに


ただ幸せだった


だから今日

僕は


家を燃やした

死人はいないが

牢に入った


これなら

不幸だ

僕は不幸を手にいれた


はずだった


だが同情があった

僕は同情された


僕はやはり不幸になれなかった

ほんとに世界は

奇麗なのだと


そう思えて

幸せを奪うやつらにさえ

牢で話していたら

いいやつだと


そんな気心が見えてきた


ああ、まったく

世界は矛盾している


もう誰もが天使であり悪魔

どちらにも転べるから

人は確たる幸せなどない

ならば確たる不幸もなく


つまりは私たちは常に揺れ

結果など後々ついてくるものらしい


だから今日

出所した今日


僕は笑った

幸せそうに笑った

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