26.蘇った記憶、遙か彼方より


 こんな夢を見た。

 ひどく薄汚れた男が、ひび割れた壁の下で倒れていた。

 数ヶ月前の己を見下ろすトウ=テンの心には、なんの感慨も湧かなかった。

 周囲には似たような風体の骸がいくつも転がっている。手足を欠損している者は黒い獣に食いちぎられたか、あるいは、血肉が腐っていく恐怖に負けて自ら切り落としたのだろう。呪いに冒された体は蛆の苗床にすらならない。ハエも寄りつかないまま腐るのを待つばかりの肉袋の列を、薄雲に半分隠れた青い月が冷たく見下ろしていた。

(まるで地獄だ)

 夢の中で独りごちる。

 あのときのコヌサはそう、地獄以外の何ものでもなかった。人と獣の血が、濁った赤と腐った黒が混ざりあい、吐き気を催すような死臭が蔓延していた。

 不意に、足下に薄く影が差した。

 影の主は、背中に薬箱を背負い、外套を目深に被っている。

 見慣れた姿だ。

 サクは薬箱を地面に置き、膝をついて、倒れた男に顔を近づけた。小さな鼻をスンスンさせている。このあたりの仕草は獣の姿を連想させた。

 返り血と垢に汚れて臭いなんぞわからんだろうに、と見ていると、サクは懐から何かを取り出した。それは折れた矢の半分だった。矢羽根を鼻の下にあてて、そこに残るわずかな臭いと、今しがた嗅いだ臭いを嗅ぎ比べている。

(――ああ)

 思わず、天を仰いだ。

 そこで目が覚めた。



 辺りは暗く、静まりかえっている。

 隣が妙にぬくい。なにかと思えば、めくった布団の下からサクが現れた。コスが眠るのを待って部屋を抜けだしてきたのだ。産毛が仄かに光を纏っているおかげで、暗い中でも顔が見える。いい夢を見ているらしい。口元が緩んでいた。

 起こそうと肩に触れて、

「……」

 トウ=テンは無言で、サクの体に布団をかけ直した。家人が寝静まった家の中で一人、灰の中の熾火を見つめた。

 寝床に入られて気づかないなど、どうかしている。

 こんな感覚は久しく忘れていた。他者を慈しむことで自身も癒やされる。十年前、永遠に失われたはずだったこのぬくもりが、切ないまでに懐かしい。

 これほど憂うつな夜は久しぶりだ。

 泡沫の夢は、記憶を映す鏡。

 胸を開かれて死んでいた女。ひとりで隠れて泣く子ども。家族三人で過ごした最後の夜。悪童を拳で打ち据える少年。生まれたばかりの赤子を取り囲む男たち。

 過去を巡る夢はとうとう、現在に追いついた。

 サクを寝室に運ぶ。

 この家にある布団は全部で四枚。うち二枚をトウ=テンとナサニエルが使っているため、一家三人は二枚の布団で眠っている。

 チサを起こさないよう細心の注意を払いながら、トウ=テンは彼女の隣にそっとサクを寝かせた。サクは小さく身じろぎしたあと、ぴたりとチサにくっついた。

 隣の布団からコスがむくりと体を起こした。

「あぁ……悪いな、いつも」

「気にするな」

 早々に出て行こうとするトウ=テンの背中に、再び声がかけられた。

「なあ」

「なんだ」

「いや、なんていうか……」

 らしくなく歯切れが悪い。

 トウ=テンにも思い当たる節がある。寝る前に読んだ、カルグの手紙だ。あれには色々と考えさせられた。

 しばしの沈黙のあと、コスは低く囁くように言った。

「もし良ければ……本当に、あんたの都合が良ければでいいんだが。明日にでも、サクの話を聞いてやってくれないか」

 普段の切って捨てるような口調ではない。縋るような、弱気な声だった。

「おまえが聞いてやればいい」

「俺は駄目だ。……あいつに、何か言いたいことがあるのはわかってた。本当はもっと、ちゃんと、聞いてやらなくちゃいけなかったのに。いつも怒鳴って黙らせて、先延ばしにして……とうとう、後がないところまで来ちまった」

 暗闇に慣れたトウ=テンの目には、コスの背中が小さく丸まっていくのがわかった。

「……巻き込んで、申し訳ない……」

「水臭いことを言うな」沈んだ肩を叩く。「わかった。サクの話を聞いたら、次はおまえだぞ。いいな、コス」

 母親の死後、必死で働きながら家族を、秘密を守ってきた。

 この男の力になってやりたい。

 コスの苦労が、トウ=テンには身にしみて理解できた。

 渡る世間は不条理ばかりで、手本にできる大人はいない。何が正解かもわからぬまま、あらゆる判断を迫られる。それでも食べていくためには立ち止まっていられない。家族がいればなおさらだ。首にかけられた縄がじわじわと締まっていくような感覚は、心の余裕を奪っていく。

 チサの父、ヨキが以前、娘婿と腹を割って話を出来たことがないと嘆いていた。

 断絶の原因は過去にある。

 村の男たちが家に乗り込んできて赤ん坊のサクを奪い取った。あの夢の光景で、泣きじゃくるキキの腕の中で村人たちを見据えていたコスの凄絶な目つきが、トウ=テンは忘れられない。

 サクに近づく人間に対する異常なまでの警戒心、敵意は、十五年前の出来事に端を発する。あんな経験をしたら疑心暗鬼にもなるだろう。彼が幼年期に負った心の傷は、かくも深いものなのだ。

 トウ=テンは自分の布団に戻ったが、横になる気分にはなれなかった。微かに残るぬくもりが夢の残滓を呼び起こす。

 先延ばしにしてきたのはこちらも同じだ。

 夜明けを待つあいだ、サクと出会ってからこれまでのことを振り返った。

 コヌサで死にかけていたところを拾われて一ヶ月半。短くも濃密な日々だった。夢を通じて過去を垣間見た錯覚だと頭ではわかっていても、一度芽生えた感情は、そう簡単に割り切れるものではない。

 空が白んできた頃、彼は立ちあがった。

 布団を畳み、外套を羽織り、誰にも気づかれぬままトウ=テンは外へ出ていった。



 パタパタと忙しない足音がする。

 誰かが中と外を行ったり来たりしている。音は聞こえていたが、まだ頭の半分は眠りの中にあった。首元を撫でる冷たい空気から逃れようとスイハは布団を被った。

 ウトウトと再び眠りに落ちようとしていたところに、こんな会話が聞こえてきた。

「テンがいないよ」

「どこ行ったのかしらね。ご飯も食べないで」

 はて、誰の声だろう。

 疑問に思ったのも一瞬のことだった。

 実家と違う匂い。使った覚えのない布団。距離の近い声。

 慌てて飛び起きたスイハを迎えたのは、ナサニエルの一声だった。

「起きたか」

 長い髪を後ろで結い上げ、左手に椀、右手に匙を持っている。

「お、おはよう。具合は?」

「だいぶ良いぞ。薬が効いたな」

「ごめん。寝ぼけて布団を取っちゃった?」

「譲ってやったんだよ。言ったろ、具合が良いって」

 彼はそう言って口に粥を運んだ。

 食欲はあるようだし、何より顔色が昨日と比べて格段によくなっている。あと二、三日も休めば元通り動けるようになるだろう。スイハはホッと胸をなで下ろした。

 布団を畳み、一家の姿が見えないうちに急いで着替える。

「トウ=テンがいないって?」

「見回りでもしてるんだろ。そんなことより、おまえにやった根付けがどこにも見当たらないんだが?」

 立て続けにいろいろなことが起きたおかげですっかり忘れていた。

 追求の眼差しに焦り、スイハはしゃかしゃかと意味もなく胸元を探った。

「あのさ、信じてもらえるかわからないけど……」

「まだ寝ぼけてんのかよ。そいつは余計な心配だぞ」

「あ、そうだったね」

 ナサニエルは嘘がわかるのだ。スイハは安心して洗いざらい白状した。

 空高く放り投げられたあと、ユウナギ公子と思われる白い鹿に助けられたこと。別れる少し前に、根付けを食べられてしまったことも。

 ナサニエルは唖然と目を見開いた。

「食われた……」

 あの根付けが単なる消耗品でないことはスイハにもわかる。ナサニエルが肌身離さず身につけている腕輪同様、特別な力を宿した道具なのだ。

「取り戻さないとまずい?」

「まあまあ不便だが……考え方次第だな。腹の中にあるなら居場所を探れる」

 そのとき、勝手口が大きく開け放たれた。

 慌ただしく入って来たのは、サクだった。客人たちには目もくれず、素早く外套を羽織り、疾風のような勢いで再び外へと引き返していく。

 慌てて声をかけた。

「おはよう! どこ行くの?」

「テンを捜してくる!」

 自分も、と飛び出そうとした寸前で、スイハは踏みとどまった。サクと入れ違いでチサが戻ってきたのだ。

「おはよう。布団、畳んでくれたのね」

「お、おはようございます」

 後を追う機を完全に逸した。

 曖昧に頭をかくスイハをチラッと見て、チサはクスクス笑った。

「ご飯の前に顔を洗ってきたら。すごい寝癖よ」

 耳まで真っ赤になりながら、スイハはそそくさと井戸に顔を洗いに行った。

 朝食の粥には細かく刻んだ根菜が入っていた。添えられた味噌の香りが食欲を誘う。生唾を飲み込むと同時に、腹がぐうと鳴った。

「おかわりあるから」

「いえ、そんな」

「いいから、たくさん食べなさい。あ、けど、おじさんの分まで食べちゃ駄目よ」

「いただきます」

 手を合わせ、一口ずつ味わいながらゆっくり食べる。

 食事のあとは食器を洗った。水の冷たさに指がかじかむ。しかし、何から何まで世話になっているのだ。自分たちが使ったものくらい片付けるのが礼儀だろう。実家では家事は使用人任せだったが、半地下で過ごした経験のおかげで何とかなりそうだ。共に過ごす人の生活能力が壊滅的だと、下手なりに丁寧にやることを覚えるのである。

 水浸しになった台所をついでに掃除していると、後ろから肩を叩かれた。

 チサだろうと思い、スイハは愛想良く振り返った。

「他にも何かお手伝い……」

「あ?」

 反射的にヒュッと息を呑む。

「うちの台所をビショビショにしてんじゃねえぞ」

 家主の登場だ。スイハは硬直した。

 兄の手紙を渡してから多少態度が軟化したとはいえ、初対面で殺されかけた記憶はいまだ生々しく脳裏に焼きついている。

「ちょっとツラ貸せ」

 彼が顎をしゃくった先に、ナサニエルがいた。手紙をヒラヒラさせている。そこが自分に残された唯一の活路に思えて、スイハは文字通りナサニエルの隣に滑り込んだ。

「食いつき良すぎだろ」

「いやもう……そういうことでいいや」

 二人の向かいにコスが腰を下ろした。

「手紙の内容について、あんた達の意見を聞かせてほしい」

「全員揃ってからのほうがいいんじゃないか?」

 ナサニエルの意見に対して、彼は首を横に振った。

「サクには最後に話す。あいつの人生を左右する大事な話だ。我ながら勝手だと思うが、ここに来たからには全員に同じ覚悟をしてほしい。サクのために」

 理性的な口調は、怒り狂っていた前日とまるで別人だった。

 彼は膝に手をついて頭を下げた。

「力を貸してくれ」

 ナサニエルもまた、静かな声で答えた。

「命の恩には必ず報いろというのが師匠の教えだ。いいだろう。聞かれたことに対して嘘偽りなく答えると約束する。ただ、おれの判断や解釈が正解とは限らない。それだけは心に留めておいてくれ」

 コスは頷いてから、スイハにも目を向けた。その眼差しからはもう、ギラつくような敵意は感じられなかった。

「頼めるか。スイハ=ヤースン」

「もちろんです。僕たちは、そのためにここまで来ました」



 冬の湖は静かだった。

 トウ=テンは息を吸った。

 朝の空気の匂いから想起される記憶の断片を、頭の中で拾いあげていく。

 初めて戦場に臨んだ日。人殺しの一線を越えて迎えた朝も、こんな匂いがしていた気がする。ただ今と違うのは最悪な気分だったということだ。周囲に積み重なる味方だったもの、敵だったもの。その死体の山を直視できるようになるまで、何度も吐いた。

 十代の後半までトウ=テンは名もなき雑兵だった。一握りの食い扶持を稼ぐために、数え切れないほどの戦場に出かけた。落ちている剣を拾い、大きさの合わない防具を身につけ、死体の山に隠れて生きのびた。帝都の貧民街の片隅にある荒家で、セツと過ごしているときだけが、安心して息をつける一時だった。

 名もなき雑兵であれ、何年も死なずに居座っていれば自然と上の目に留まる。もちろん良いほうの意味ではない。士官学校を卒業したばかりのろくでなし。生家の権力が軍にも及ぶことから増長して、遊び半分で兵を何人も死なせた。トウ=テンも下らない賭けの対象にされて何度も死地へ送り出された。敵地の山中に置き去りにされたのもこのときだ。何をやらせても死なないことから「つまらんやつ」と烙印を押されたが、こちらは生き延びるのに必死でそれどころではなかった。

 食べていくために戦場へ赴き、生きて帰るために敵を殺した。生きるために死ぬ危険を冒す。矛盾だ。だがあの頃は、それしか身を立てる術がなかった。

 実力において、道半ばで死んでいった者たちと大きな差があったわけではない。運が良かった、としか言えない場面は数え切れないほどあった。十八歳になる頃には、運に見放されないために出来ることは何でもやらなければならないのだと理解していた。

 血反吐を吐くほど鍛錬を重ねた。しまいには尿や便に血が混じるようになった。限界の壁をいくつも乗り越えて、とことん自分を追い込んだ。どんなに無茶でも、常軌を逸していても、武人として体格に恵まれないトウ=テンにとって努力はいくら重ねても足りないものだった。セツが心配して陰で泣いていることは気づいていたし、自分でも、もう無理だと思うことは何度もあった。だが農民出身の成り上がりに、出来なければ諦めるという選択は許されなかった。

 無意識に立ちはだかる最大の障害は、出来ないという思い込みだ。

 ありえないようなことも、目の前にあるなら受け入れる。出来るわけがないと思っていたことも、それを実践している者がいるなら不可能ではない。

「テン!」

 トウ=テンは顔をあげた。

 朝靄の向こうから、サクが走ってきた。

「水の上、立てるようになったんだ!」つま先から水の粒を飛ばしながらトウ=テンに飛びつき、嬉しそうな声をあげる。「早起きして練習してたの?」

「ああ」

「すごい、すごい」

 感情に反応するかのように、湖の水面に波紋が広がった。

 以前教わった、水の上に立つ方法――正直、感覚的すぎて要領を得なかったが――あれは雪山で行動するのに役立った。一度コツを掴んでしまえば、あとは応用だ。

 サクは頬を紅潮させて、興奮冷めやらぬまま両手でトウ=テンの腕を引っ張った。

「あっち、もっと真ん中のほうまで行こう。夏はあの辺りが一番気持ちいいんだよ。風が涼しくて水も冷たくて」

「勘弁しろ。気を抜いたら足下が抜けそうだ」

 そう言いつつ、腕を引かれて歩を進める。

 さすがに湖の真ん中までは行かなかったが、足がつかない深さまで来た。

「こっそり練習してビックリさせようと思ったの?」

「おまえと二人きりで話をしたかった」

 サクは足を止めた。

 振り返った顔は、いつか夢の中でヨウ=キキが見せたものとよく似た、困ったような微笑を湛えていた。

「……俺も。二人で話したいと思ってた」

 凪いだ水面に互いの姿が映っている。

 二人きりになる機会をずっと窺っていたというのに、いざそれが叶うと、思いのほか憂うつだった。見て見ぬふりができない己の性分を、初めて厭わしく思った。

「これから、どうしたい?」

「州都に行くよ」

「スイハに頼まれたからか?」

「ううん」

 サクは一瞬口ごもったあと、トウ=テンの目を真っ直ぐ見つめた。

「思い出したの。そのおかげで、わかったことがいくつもある」

 記憶を戻してはならない。

 病床からカルグ=ヤースンが飛ばした警告は、もはや意味をなさない。ナサニエルが術を使う前に手紙を読んでいたとしても、その意味を理解することはもちろん、あれが現れることを予測することはできなかっただろう。

 あれから、明らかにサクは変わった。

 奇妙な感覚だ。別人になったわけではない。ただ、一夜にして急に大人になってしまった気がする。ふと目が合ったときの表情、何気ない仕草。目を覚ましてからのサクには、他人の思惑に翻弄されることのない、自分の物差しを持った人間が醸し出す落ち着きがあった。

「聞いてくれる?」

「話してくれ」

 どんなことでも、受け入れる覚悟は出来ていた。

 サクはスウッと大きく息を吸って、やや緊張に震えた声で言った。

「結論から言うね。西州で今起きている異変には、ある存在が関わっている。どうして獣たちがそのトリガーになっているのか、そこまではわからないけど……。こんなことを仕組めるのは『彼』だけ」

 数日前、人類を絶滅させてやると、そう言った者がいた。

 顔色を変えないトウ=テンを見て、サクは目を伏せた。

「……やっぱり。ずっと様子が変だったから、もしかしたらって思ってた。もう、接触していたの」

「ああ。ナサニエルがおまえに魔術を使った、そのときに」

「出てきたとき、『彼』はなんて?」

「衛星とか、防壁がどうとか……」

「……そう。あの防衛機構は……こういうことも想定してたんだ」

 灰色の瞳が憂いで曇る。

 サクは外套の裾をふわりと翻して空を見上げた。空にうっすらと白い影を残す月を見つめながら、不安を飲み下すようにゆっくり瞬きする。

「あれは何者だ。おまえと、どういう関わりがある?」

 トウ=テンが先を促すと、サクは視線を空から地上に戻した。

「彼の名前は〈CUBE〉」

「キューブ」

「移民船ハルバルディ号の仲間」

 夢の中でヨウ=キキから告げられた警告が、脳裏をよぎった。

(――船に気をつけて)

 いつかの夜、寝ぼけたサクがこう言っていたことも覚えている。

(――船が墜ちるの)

 そうと気づかなかっただけで、以前から、その存在は示唆されていたのだ。

 しかし、これまで生きてきて、ハルバルディ号という名前の船舶は聞いたことがない。どこかの国で、大規模な移民政策があったという話も聞かない。

 再生された人類、忘れられた船。

 断片的な情報から推察できるのは、それが、歴史から消えてしまうほど遙か過去の出来事だということだ。トウ=テンでは想像もつかないほどの。

「その船は、どこから来たんだ」

 もう何を言われても驚かないつもりだったが、サクが次に口にした言葉に、彼はさっそく意表を突かれた。

「人類は、この宙の向こうから来た」

「空?」

「そう。果てのない夜が続く星々の大海を、何百年も航海してきたの。……この記憶の持ち主の名前は、ホーリー。教導官ホーリー。彼女は墜落した星の船の、唯一の生存者だった」

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