第四十七話 結成っ! バグパーティー!

~四人よれば文殊のバグ~


 はいはい。皆様お待たせしました。


って、こういう始め方、最近多いような気もしますが

気にせず今日も元気にいってみよーっ。


という訳でっ。お待たせしましたっ。

新たなバグキャラクター、ご登場でござーいっ。


ザッ。


 右から、斜め右から、斜め左から、左から。

姿を現したのは――ピッタリ四人。


 右から…………うん。

見るからに果物から産まれたヒーローに倒されるためだけに生まれた、具体的な悪事は不明な悲しき産物。その名も、鬼。


《…………》


《チュン》

「限りなく鬼に近い人間な。失礼だろ」


 んで、ななめ右…………

桃色の髪に蒼目、ちょっとボロい水色のスウェットと借りパ――いや、拝借したスリッパがお茶目な美少女。この世界のヒロインこと、私。


《チュッ》

「美化し過ぎ……でもねぇな。

追加するなら、スリッパ泥棒のクソヤローってことくらいか」


 誰が泥棒だっ‼

あくまで拝借だから。飲み屋で自分の靴じゃなくて他の人の靴履いて出ちゃったって感じだから。後で返しますぅー。


《チュンッ》

「お前の場合は裸足だったけどな。

つーかその例えなら、気付いた時点でさっさと返せ」


 …………え、うっそぉ⁉ 私、スリッパ履きっぱなしで出て来ちゃったのぉ⁉

全然、気付かなかったぁー⁉


 まぁでも仕方ないっ!

今は試験中だしっ。終わったら返そうっ!

いやぁー、心苦しいっ! 試験中に気付いたことが悔やまれるぜっ‼


《チュ……》

「なんですぐバレる嘘を平然とつけんだ、こいつは……」


 ハッハッハ。


 えー、で。

斜め左に現れたのは…………うん。


 んで、左に現れたのが――


《チュチュチュン》

「待て待て待て。なんで斜め左のやつ飛ばしてんだよ」


 いや、だって、ねぇ?


だってさ。どこからどう見ても、

男なんだもん。


《チュ》

「まぁな」


 でしょ? はいはい、で。最後に左――


「あ」


《ん? あら、貴方……》


 こ、こここここの女っ⁉

見るからにゴスゴースっ! みたいな黒い服着たこいつはっ!

あの時のっ‼


【ドンッ。


「のわっ⁉」


※第四十五話 この指とーまれっ!1 参照】


 ま、まさかの再会っ。

これはあれだね。登校中にどーんっ。しちゃった人がまさかの同じクラスの転校生っ⁉ これからどうなっちゃうのっ⁉ っていうテンプレパターンだよっ。


《チュー》

「へぇー、じゃあこいつがお前の相手役か」


 いやいや、それじゃ百合ゲームになっちゃうよ?

どっちがヒロインか分かんないんだけど。


 あ、でもこの子。

猫目だし、ヒーロー側かも。

いや、でもあっちではヒロイン側なんだっけ?


《チュン》

「あっちでもどっちでもどうでもいいけどよ。

ぶつかったといやぁ、あいつもさっきぶつかったやつじゃねぇか?」


 え?


ジーッ。


「…………」


《あ、さ、先程はどうも》


 …………いやぁ? 気のせいじゃない?


《チュ!》

「んなわけあるかっ!

じゃあなんで【先程はどうも】なんて言ってんだよっ」


 そりゃ、あれでしょ。

私の可愛さを拝んでた一人とか。


《チュッ》

「いるか、そんなやつ」


 言い切れないでしょうがァァっ‼

なんで言い切れんのっ⁉ 私はこんなにも可愛いのにっ!


《貴方》


 んっ?

ああ、こっちのゴスゴースも気付いたか。

さっきの非礼を詫びてくれるなら? 許してやらないこともないぞ?


4の字固めを背負い投げに変えることもやぶさかではないぞよ?


《チュン》

「どこぞの肥えた偉そうなオッサンだよ」


《確か――試験会場Cにいましたわね》


 って。


「え?」


 え、そっち?


ていうか君、いたんだ。

見渡した時には気付かなかったよ。

こんな個性的な恰好してんのにさ。


《貴方、有名ですわよ》


 え? そう?

なになに、可愛いって? 絶世の美少女だって?

学園始まって以来の天使登場ってか?


 まいったなァ~。

まぁ、サインくらいならしてもい――


《痛いヒロインモドキだって》


 ――あ?


《くすっ。その恰好じゃあそう呼ばれるのも無理はないですわね。

悲劇のヒロインを演じてらっしゃるんですものね》


 あ˝ぁ?


 おうおう。

背負い投げからの4の字固めを食らう準備はバッチリのようだなぁ? あ˝?


《チュ》

「落ち着け。退場にさせられんぞ。

そのチンピラ顔なんとかしろっ」


 ちっ……

噂になってんの、絶対あいつだ。

全てはコケコッコーのせいだ。


《ま、まぁまぁ。

せっかく組むんですから仲良くしましょう、ね?》


《まだ組むとは決めてませんわっ》


《えっ》


 え、マジ?

どう考えても私たち以外に余ってんのいないけど。

ていうか君が余ってる理由は一目瞭然、いや一声瞭然だよ。

明らかに性格の問題だよ。


《チュ》

「確かに。お前といい勝負だな」


 フッ。またまたぁ……

私は性格が悪いんじゃないっ。素直過ぎるんだよ。

ピュアピュアなんだよ。


ピュアホワイトなんだよ。

ハッ! お嬢ちゃん向けアニメに出れちゃうかもっ⁉


《チュン》

「お前みたいなの、悪役でも出れねぇだろ」


 どういう意味だよ。

私は子ども向け番組には出れないってか?

…………またまたぁ。


 ていうか、あれ?

このメンツ…………


明らかに悪役面の鬼くん。

性格が悪いゴスゴースっ。

そして……うん。


 で、私は――――あれれぇ?

やっぱりさ。私が余るなんておかしくない?


《チュッ》

「安心しろ。全員納得の結果だ」




第四十七話 結成っ! バグパーティ!

~四人よれば、文殊のバグ~ END・・・

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