第二十四話 マジかよ

~人生には、山あり谷ありバグがあります~


《待たせたな》


 で、出たなっ! コケコッコー!

お前に悪ドリは渡さんからなっ‼


《ん? なんだその顔……

そんなに待たせたか……?》


 よしっ、決闘だっ。

私の、背負い投げを食らうがいいっ!


 お前なんて羽、もいで

ケン○ッキーチキンにして販売してやるからなっ‼


《チュ》

「食わねェのかよっ」


ゲシッ。


「いてっ!」


《チュンッ》

「アホなことしてんじゃねェよ。

大体、俺はお前のサポートキャラなんだから

お前から離れるこたぁできねェんだよ」


 あ、そっか。


《なにしてんだこいつ……》


 フハハハハハ‼

残念だったな、コケコッコーよっ!


 お前は器が足りないんだよっ!

ヒロインになってから出直しなっ!


 フハハハハハッ‼


《チュッ》

「いいからさっさと話を続けろっ」


ゲシッ。


「ふべっ」


 ちょっ、顔面はないんじゃない?


《…………》


「あ、すいません。

で、なんですか?」


《……これ見ろ》


 んん? これは、地図?


 【御伽ランド MAP】って書かれてる。

っていうか、この国の名前ってそんななんだ。

遊園地みたいだな。


《いいか?

お前は今からここ、【理の泉】に行け》


「泉?」


 なにしに?

ま、まさか――あの心の声、聞こえてたのか⁉


【苦虫を嚙み潰した上にすり潰して

ジュースにする仕事をやらされてる社畜みたいな顔してるんだけど】

という心の声がっ‼


 わ、私にジュース製造闇バイトをさせる気だな‼

そうなんだろっ‼


《チュン》

「な訳ないよな」


 あ、そうだね。な訳ないね。

じゃあ、どうして?


「どうして泉に?」


《能力を授与してもらうためだ》


 能力を、授与ぉ?


《お前以外の大抵のやつは

生まれた時に親なりなんなりに連れていかれて授与されてる》


 へぇー。


《だけどお前は、まぁなんの理由があんのかは知らんが

それをやってねーみたいだな》


 あ、そうなんですか。


 …………マジ?


「え、あの、実技の試験っていつでしたっけ?」


《明日の13時だ》


 マジかよ。


「え、それ間に合うんですか」


《さぁな》


 いや、さぁなって⁉


《まぁ、可能性はなくないだろ。

とにかく、実技を受けれなきゃ入学は無理だからな》


 マジかよ。


《この地図、くれてやるから。まっ、頑張れよ》


 ……マジかよ。


        LOADING・・・




 マジかよ。


《チュン》

「さっきからそれしか言ってねェじゃねェか」


 いや、だってさ。

明日だよ? 実技のテストって明日なんだよ?


 てことはさ、今からそのなんちゃらの泉に行かなきゃじゃん?

ていうか、そもそも能力ってなに?

なにそのいきなりのバトル育成要素っ。


 っていうか、私に能力とかあんの?

だって私、この世界の人間じゃないんだよ?


《チュ……》

「まぁ……取り敢えず、行ってみるしかねェだろ。

その【理の泉】ってとこによ」


 いや、行くって言われてもなぁ……


 この地図、簡易的過ぎない?


 公式で地図作ってるとこの地図じゃないでしょ、これ。

なに? 子どもが作ったの?

辛うじて、東西南北が分かる程度なんだけど。


 これでどう辿り着けと?


《チュン……》

「まぁな……

こうなったら、また誰かに聞くしかねェだろ」


 誰かねぇ…………あ。

ウルフィー! ウルフィーに聞けばいいやっ。


 もしかしたら学園出たとこで待ってくれてるかもっ。




ヒュールルルル…………


 え、マジか。

学園の外、人っ子一人いないんだけど。


《…………チュ》

「…………まぁ、

試験終わってから結構経ってるからな」


 マジかよっ⁉

それでもさっ! ちょっとくらい待っててくれても良くないっ⁉

友達だと思ってたのにっ!

酷いっ! 酷いよ、ウルフィー‼


《チュン》

「嘘つけ。精々、ちょっと厄介な案内人くらいにしか

思ってなかっただろ」


 いや、流石にそこまで薄情じゃないよっ⁉

ちょっと、いやかなりの変人な案内人兼、友達だと思ったよっ‼


《チュン》

「ほぼ後付けじゃねェかっ」


 あーあ。

ウルフィーがいないんじゃ、誰が私を案内してくれるんだよー。


 っていうかまず。

学園からどうやって出るのかも分かんないんですけど。

来た時の扉から出れるの?

それとも今度こそ、ブラックホールに巻き込まれてゴミと化すの?


《チュッ》

「仕方ねェ。

一回、学園ん中戻って誰かに聞きに行こうぜ」


 ううっ…………

なんかとことんついてないような気がする……


 あれだ。

私、今年のおみくじ【中吉】だったんだよね。

去年も一昨年も【大吉】だったのにさ。


 完全にそのせいだよ。

だって【大吉】だったからって特にいいことなかったもん。

てことは私の【大吉】は悪い事は起こらないよ、やったね☆

っていう意味の【大吉】だったんだよ。


 それが【中吉】……

完全に、そういうことだよ。


《チュンッ》

「ぜってェ、関係ねェだろ。

つーか【中吉】でこれだったら

【凶】とか取った日にはどうなんだよ」


 そりゃあやっぱ、死なんて生ぬるいっ……

それこそ地獄のようなナニカが起きるに決まって――――




「あ」


《え?》


 な、なんてこった。

いたよ。


 もう一人の、案内係が。

い、いや、貴方こそ真の案内係だっ――


「ス、スネカさーーーーーーーん‼」


《わわわっ⁉》




第二十四話 マジかよ

~人生には、山あり谷ありバグがあります~ END・・・





――———————————————


 ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


 次回からは、能力授与編です!

これからもよろしくおねがいします‼


 わしゃまるでした。

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