第五章 入学試験・実技 編

第四十二話 TE★TSU★YAHOOOO‼

~徹夜付けはいけないって専門家が言ってた。脳がバグるんだって~


 フハハハハハッ。

なんとか間に合ったようだね、悪ドリ君よっ。


《チュ……》

「いや、お前誰だよ……」


 誰だってぇっ⁉

忘れたとは言わせんよっ、鳥ィ!


 この私っ、

藍沢 桜様をねぇ! グワッハッハッハッハ‼


「…………」


 おいおい、過去一でドン引いた面をしてるじゃねぇか鳥ィ。

だぁいじょうぶだってぇ。

もう私を置いて逃走、いや逃飛したことは許すよぉ。


 なんせ今の私は、ハイテンションなんだかぁ⤴らっ‼


《…………》

「お前……あのキノコジジイみたいになってんぞ。

自覚あるか?」


 …………え? キノコ……


【君ィ】


 ズゥゥゥゥゥン。


 ううっ、だってさ。だってさ。

おもっくそ眠いんですけど。


 なんで試験前日に徹夜しなくちゃなんないの?

なんであんなダ女神に夜通しステーキ作んなきゃなんないの?

テンション上げないとやってけないんですけど……


《チュンッ》

「まっ、間に合っただけマシだろ」


 そうかな。マシかな。

なんなら受験辞めてダ女神んとこに居候させてもらう方が幸せだった気がする。

少なくても今の私の幸せはそっちだよ。


《チュ》

「目先の幸せに囚われんな。

お前の幸せはハッピーエンドを迎える事だろ」


 そうだっけ。

…………いや、本当にそうだったっけ??


 まぁ、あそこから歩いて学園まで来るよりはマシだったけどさ。

というか歩いていくと間に合いそうになかったから、

ダ女神を脅し――――お願いしてっ。


 どこでも通じてそうな扉を貸してもらって

学園の前まで来ましたー。


 んで、開催場所は確か……グラウンドだっけ。

グラウンドってどこだっけ。


《チュン》

「学園の真後ろだろ」


 ああ、そうそう。

学園という名の空の塔の正面に立って、振り返るっ。

するとあーら不思議、グラウンドが見えてきちゃう。


「てか、もう結構人いるね」


 昨日の試験会場にいた人の……3倍くらいいるな。

人がコショウを嗅いで、ハックシューンした時のコショウの粒くらいいるね。


《チュン》

「そんなにはいねぇだろ」


 え、そう?


《おいっ! 壇上に誰か上がってるぜ!》


《マジかっ。急ごうぜ!》


 タタタッ。


 あらら、みんなグラウンドの中央に走っていくよ。

あれ、でもまだ時間前なのに? もう始まるの?


《チュ?》

「取り敢えず、お前も行ったらどうだ?」


 えぇー……

徹夜の人間走らすとか……運営はどうかしてるぜ。


《チュン》

「徹夜なのはお前だけだろ」


 そんなことないしィー。

試験前だよ? 徹夜してる人の一人や二人いるでしょ。


《チュッ》

「筆記ならまだしも実技を徹夜ってなんだよ。

んなやつバカだろ、バカ」


 誰がバカじゃぁぁぁ‼


《チュ!》

「あ! おい、前見ろ前!」


 前ぇ? 前に一体なにがあるって……


《実技ってなにやるんだろ。

わからなくて色々絵本読んできたけど大丈夫かなぁ…………》


「え」


《え?》


どーん!


《わっ⁉》


 な、な、なんてこった……

 どーんしちゃったよ。曲がり角じゃないけどどーんしちゃったよ。

これはヒロインの専売特許なのにっ。

 ……あ。私、ヒロインだったわ。


《す、すみませんっ。大丈夫です――――っつ⁉》


ピシャーン‼


「あ、うん。こちらこそごめっ――」


 おぉ……どうしたその顔は。

雷が走ったみたいな顔してるよ。ピシャーンみたいな顔になってるよ。


⦅かっ、かわいいっ‼

それにこの出会い、まるで絵本みたいだ!⦆


 的なこと思ってる顔になっちゃってるよ。


《チュッ》

「エスパーか、お前は」


⦅あ、あれ。でもなんかこの人――

奴隷みたいな服着てるな…………⦆


 的なこと思ってる顔して――


「いや、誰が奴隷だよっ⁉」


《あ、あれっ⁉ 僕、口に出して――⁉》


 慌てて口を押さえても遅いんだからなっ!

どいつもこいつも私のこと奴隷と勘違いしやがってぇぇぇ……


 もうこの服、嫌いだッ‼


キーーーーーーンッ‼‼‼


「んんっ⁉」


《わっ⁉》


 な、なんだこの耳に響くキーン音はっ⁉


 それが鳴ったのは……あそこか?

グラウンドの中央にある鉄でできた壇の上。

だけどここからじゃ、人が邪魔で見えないな。


《す、すみませんっ! 僕、行きますねっ!》


 あ、おぉ……


 なんていうかあれだな。今のやつ。

目に隈がある以外に男だったな。


 まぁ、そんなことはどうでもいいっ。

んでは、私も壇の近くに行きますかっ!


タッタカターッ


       LOADING・・・




「はい、すいませんねぇー」


ユラン。


「はい、ちょっと通りますねぇー」


ニョロン。


「はいはい、さっさとどけやがれくださいぃー」


ユランニョロンゲシッ。


 ――よしっ、一番前に到着っ!


《チュッ》

「いやどんな擬音だよ。

どんな動きしたらそんな気持ちわりィ擬音になんだよ」


 え、そりゃあ……ねぇ?


 ユラン、で。ニョロン、で。ゲシッ、だよ。


《チュン⁉》

「最後の擬音はぜってぇ誰か蹴飛ばしてんだろっ⁉」


 ハハハ。私がそんなことする訳がないだろう。

ゲシッ、はあれだよ…………私の笑い声とか。


《チュ》

「だったとしたらヒロイン剥奪な」


 マジ? やったっ!


キーーーーーーーーン‼‼‼‼


 ぬぉぉぉぉぉ…………

ち、近くで聞くとさらに耳にくるんですけど。


 てか、なんでこんな音すんの。

そのマイクのどこを触ればこの音鳴らせるの?


《し、失礼ぃぃぃ…………》


 …………えぇ。

なんか壇上立ってんの、すんごいじじなんですけど。

なにが凄いって? じじ感がすっごい。


 まぁ、簡単に言えば……

デッドorアライブの、デッドより。

棺桶に片足突っ込むどころか、かろうじて片足残ってるみたいな。

そんな感じのじじ。


 もっと簡単に言うと…………

半分妖怪?


キーーーーーーーーン‼‼‼‼




第四十二話 TE★TSU★YAHOOOO‼

~徹夜付けはいけないって専門家が言ってたよ。脳がバグるんだって~ END・・・

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