AIディストピアの憂鬱

【AI絶対主義】


 文学賞の影響もあってか、AIに小説を評価させたり書かせたりが急に流行り出した。正直私はイヤな予感がする。その行きつく究極はAIの提示する価値観への収斂、つまりAI絶対主義ではないかと思うからだ。



【AIと小説】


 AIの書いた文章で文学賞が獲れるなら、もはやその賞は意味がないだろう。そもそも心情としてAIの小説など読みたくはない。小説というものは、人間が書くから価値があると思っている。

 しかしどうやらそうも言っていられなくなったようだ。


 今のうちは人間が指示して書かせているから人間の作品だという向きもあろう。しかし、それでも今いる作家の一部はお払い箱ではないか? どことは言わないが、データの多いジャンルほど危ない。もちろん、「指示を出す」こともいずれ自動化されるに決まっている。


 なので、このカクヨムにもAIの書いた小説が増えてくる気がする。もしそうなったらここの存在意義が問われよう。



 ちなみに、おそらくAIの書く小説は無数のパターンを持たせられるだろう。それはテーマだけでなく、文体なども含めてだ。しかしその根底にあるのはAIビッグデーターという単一の価値観である。そこに創造性というものはなく、あるのは単なるバリエーションである。すべてがAIのカバーする範疇なのだ。

(逆にもしAIが創造性など持った日には、ますます恐ろしい‥‥‥)


 また、人間が新たな作品を産み出したとしても、それは瞬時にAIのデータに取り込まれ、AIの肥やしになるだけだ。そうやって人間の創造性は奪われて行く。‥‥‥これはもちろん小説に限った話ではない。


 、人間の負けは濃厚である。

 われわれは将棋で負けた時点で気づくべきだったようだ。


(だから単純に勝負してはならない)



【AIディストピア】


 深宙啓さまのご紹介(↓)によると、小説に限らず、20年後には人間の仕事のほとんどがAIに置き換えられるという。

https://kakuyomu.jp/works/16817330669038653202/episodes/16818023211770631597


 となると、まずはデスクワーク全般が先にやられるだろう。いわゆるホワイトカラーの方が危ないわけだ。


 上述のように「人間の指示」も早晩AIが代替するだろうし、さらにはニュータイプとして思考を持つAIも出来てくるかもしれない。というか、その方向で開発者たちはしのぎを削っているのではないか?


 一方で、工事現場、その他のさまざまな現業、あるいは例えば競馬のジョッキーやカリスマ美容師など、頭と体(筋力+神経)の両方を使う仕事は意外にしぶとく残るかもしれない(幸か不幸か、ロボットの進化はAIより遅れており、当面コストが見合わない)。だが、それもいつかはやられるだろう。


 とすると人間には、何かの判断を下す仕事ぐらいか? しかしこれとて、AIが算出する確率に反することをできるとは思えない。


 かくて、人間がAIに依存するようになれば、いずれAIに命令されるようになり、それはAIに支配されることと同じである。あらゆる分野でそれが進むなら、それは一人の人間にすべてを支配されることと同じ状況になる。まさに絶対主義ディストピアだ。



――こうして見ると、人類の発明としてAIは核兵器よりさらに性質たちが悪かったかもしれない。核兵器は使わない選択肢があるが、AIには多分ないからだ。


 以上が見当違いの妄想に終わることを祈るが、はてさて‥‥‥‥‥‥




『最期の命令』4332文字 ――鉛筆なめなめ、人間が書きました

https://kakuyomu.jp/works/16817330667744486424



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