第4話 証明

(これなら確実にわかる!魂が何なのか!どういうモノなのか!)



 立て続けに二人の患者が亡くなり、センター内は慌ただしくなっていた。


 誰も田嶋ボクとは分かるまい。


 ボクは、魂の存在を証明する!

 亡くなった二人には悪いが、実験体になって貰っただけ。

 そのお陰で、キミ達もヒーローだ!

 医学界を驚愕きょうがくさせる立役者になるんだ!


 ボクは急いだ。

 とにかく早く見たい!

 医学では到底説明のつかない事をボクが証明する!!


 ボクは、屋上の扉を勢いよく開けた。

 外は冷たい空気が張り詰めていた。


 そう、ボクは、ボクの……自分の魂を!

 身をもって証明するんだっ!!


「あれ?田嶋先生どうしたんですか?屋上なんかに来て」


 医療事務の那美なみ君が、缶コーヒーを片手に休憩をとっていた。

 不思議そうな表情で、ボクに視線を送ってきた。


(引っ込んでいろ、凡人めっ!ボクは、医学界を変える男だ!世界中が認める天才医師になるんだ!)


 ボクは、柵を乗り越え、なんの躊躇ちゅうちょも無く……飛んだ。


 えつはいった最高の笑顔で……。


「キャアアッ!た、田嶋先生!!」




 地に落ちたボクに群がる、無能な医者ども……


 さて、証明してやる。


 魂の存在を!!


 ボクは、直ぐさま手術室へかつぎ込まれた。


 トクン……トクン……トクン……


 あれ?……ボクは、まだ生きてる?!


 大量の出血、飛び出した臓器、千切れた肉片……


 おいおい、これじゃ21gかどうか分からないじゃないか!


 しかも、痛いっ!なんて痛さだ!


 あぁ、なんだろう?目の前が真っ暗になってきた……


 何とか魂の証明を……


 何か……違う方法で試さ……な……きゃ……




 ピ───────────────────



【了】


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21g をりあゆうすけ @wollia

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