第9話 『私の気持ち』

       (夜空視点)

_________________________________________

「ここ、は?……」


目を覚ますと、そこには黒く渦巻いている台風のような塊があった。


(……これは、…優ちゃんの話が本当なら、この黒いのは私の魔力……)


現実世界では異質な空間に対応しながら私は考える。

優が話していたことが本当ならば、私はもっと強くなれるはずだ。


「ふふっ」


自然と笑みがこぼれる。これでまた、夢に

一歩、近づけたのだから。

___しかしここで、軽いアクシデントが

起こる。


「……、そう言えば、どうやって帰れば

いいんだろう……?」


……そう、帰り方がわからないのだ……。

もし、前回きた時と変わっていなければ、

自分の魔力に飲み込まれれば、現実世界に

帰れるはずなのだが。


(……さ、流石に自分から飲み込まれるのは

抵抗があるなぁ〜)


私は困った表情で苦笑いをする。……それも

そのはずで、夜空の魔力はまるで、

ブラックホールのような色をしている台風

もどきだ、そのような所に自ら飛び込むのは、誰しも恐怖を感じるはずだ。


(……うん!ちょ、ちょっとだけ待ってから

にしよう! うん! そうしよう!)


私は考えをまとめると、ポフッとその場に

座り込んだ。


……………………………………………………

数十分経っても、何ひとつ起きなかった。


「もーーー無理! 暇だよ!!」


私は亜空間の地面に寝転がり、手を大の字に

して叫ぶ。_______________________しかし、

微塵も変化はない。


「もーーーーーーーーーーーーー!!!」


私は、プクッと頬を膨らませながら、

駄々をこねるように大声で叫ぶ。________

すると、


「うるさいわね……もう少し静かに出来ない

のかしら?」


一人の声が響き渡る。私は勢いよく

起き上がり、辺りを見渡すと、そこには、

 

「お目覚めかしら? 私?」


私と、そっくりな人物が口を尖らせながら、

私の目の前に突っ立っている。


「……貴方は?」


私は、困惑しながら、搾り出すように

言葉を投げかける。 しかし、彼女はそれに

答えず、私に淡々と言葉を発する。


「もしかして私、この夢が終われば、明日に

は固定能力が使えるとか思ってない?」


「……え?」


私は驚きと困惑を同時に抱いた。


(どう言うこと? 固定能力は自分の魔力を

見れば、自然と手に入るものじゃあ

ないの?)  


私が考えに浸っている時、もう一人の私は

頭を抱えて喋り出す。


「図星か……、……はぁ、優さんに合わせる

顔がないわ。……自分だけど……」


どうやら私の感情が顔に出ていたらしい。

恥ずかしい気持ちを抑えながら、私は、彼女

に質問する。


「っ!//……それなら質問!優ちゃんの話は

嘘だったの!?」


私が質問すると、彼女はひどく落胆した

表情で答える。


「……ちょっと考えればわかるでしょう?

……魔力を見るだけで固定能力なんか

手に入れたりしたら……、世の中Aランク

魔法少女だらけよ?」


「……確かに」


彼女が言い放った言葉に私は心から納得

した。……優ちゃんいわく、固定能力を手に入れるだけで、昔のAランク魔法少女

まで、実力を跳ね上げることが出来るらしいので、数十万といる魔法少女がたかが自分の魔力を見ただけで固定能力を得れば、彼女の言う通り、世界はAランク魔法少女だらけになるだろう。


「ということは…………なにか条件がある?」


「そういうこと」


彼女はこくりとうなずくと、こちらに歩み寄る。


「ヒントは、私の中で今一番、強く思っていること。……私はね、

その気持ちで生まれたもう一人の人格……だから、貴方よりその気持ちが大きい」


彼女は私を見据えながらヒントを話してくれた。


「わかった!!皆を救うこと!!」


「残念、それはすでにクリア済みよ」


「えっ!?」


私は自信満々に答えると、既に二問目に入っていることを彼女から伝えられた。


「……むむむ?」


私が頭を抱えながら苦戦していると_________________________________________


「……残念、時間切れね、……最後に一つ言っておくわ、あなたがもし、

その問題をクリアー出来たのなら、固定能力は自由に使えるようになるから。

……それじゃあ、また後でね?」


……そう簡潔に言い残した彼女は、霧のようにその場から姿を消した。

すると、周囲の空間が崩れ始め、今まで動かなかった魔力の塊が私に向かって、

動き始めた。


「ちょ!まっt……」


…………私は彼女に抗議する暇もなく、魔力の塊に吸い込まれるのであった。

____________________________________________________________________________

「……………………眩し!?」


「さっさと起きろピヨ!!何時だと思ってるピヨか!!」


……色々あって最悪の目覚めなのに一切容赦してくれないぷよよ。

しかし、ぷよよの話通り時計を見ると_____16時54分(午後4時)_____


「………………………………………………………………………………ま、まじ?」


「マジピヨ」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「魔女もあきれてたピヨ」


発狂する私に、さらに追い打ちをかけてくるぷよよ。


「そんなことしてる前に早く着替えろピヨ!!ただでさえ、今の夜空は居候なのに

これ以上迷惑かけるなピヨ!!」


「あばばばばばばばばばばばばば」

                        (5時)

……そんなこんなで、私は優ちゃんに作ってもらった朝ごはんを食べるのであった。

______________________________________


       (???視点)


……………………………………………………………………………………………………

?は何故生きているのだ?……?は確かに死んだはず。それなのに…………、

しかし、?は自分の服装を見て、自分の身に何が起きたのかを悟った。


「そっかそっか……私は、これでようやく…………」


「魔法少女共に復讐できるのかな?」


…………雨が降り続く中、私は透き通った声で、笑い続けるのであった。

______________________________________


     温度差そんな無かった。

     明日は投稿出来るか

       分かりません。     


   次回 第10話 『正義の魔女』

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