第7話

「あなたさっきから防戦一方だけど大丈夫かしらぁ?」


オフィスビルは至るところが陥没している


サクヤの体には傷一つないがハァ、ハァと少し息が乱れているようだった


「さすが幹部クラスといったとこか、舐めてはかかれんな」


「強がっちゃって、かわいいわぁー。」


アリスの言葉使いには今だ余裕がある

(もっと苦労するものだと思っていたけど、これなら案外余裕そうだわぁ)



フゥーー

サクヤは一息つくと上に来ていたスーツを脱ぎ捨てる


「さて、全力でいこうか」



ドォォッッ!!



サクヤを中心として見えない力場が働く


ガッシャーン!


という音をたてながらアリスは窓ガラスを突き破ってビルの外へと投げ出される


(これがシノノメの能力っ!聞いてはいたけど、やはり理不尽だわぁ)


アリスは肩にかけているポシェットの中から何かを取り出し下に投げる


すると下に巨大なクッションが現れアリスの体を受け止めた


サクヤは落ちたアリスを追いかけるためビルから飛び降りる


アリスは空中で身動きの取れないサクヤに対して手榴弾を投げつける


投げられたそれらはサクヤに近づくに連れて大きくなっていき、最終的にバランスボールほどの大きさとなった


しかし、サクヤはそれらに焦ることはなく持っている剣を振り下ろす


すると、剣の刀身はみるみるうちに長くなっていき3メートル以上の長さとなる


サクヤはその剣をいともたやすく操り手榴弾を次々に真っ二つにしてゆく


ドドドドガァァッッンッッ!!


凄まじい轟音が鳴り響くがサクヤは体に傷一つつけることなく地上へと着地した


すぐさまアリスは着地後をスーパーボールほどの大きさの鉄球を続けざまに投げて追撃する


それらもまた手榴弾と同様にサクヤに近づくに連れて大きくなり、サクヤの眼前を覆い尽くしてゆく


が、しかし、


サクヤが剣を振るとさらに長くなっていき10メートルのほどの距離を取っていたアリスまで剣先が伸びる


アリスの脳天が剣先に届く直前、

アリスの体が小さくなり、寸前のところでかわす



「よく今のに対応できたな」


「あなたこそ、なんで私の攻撃が一つもあたらないわけぇ?」


お互いに会話をしているがその目は互いの隙を伺っている



先に動いたのはサクヤだった


元の長さにもどった剣を下ろすと、今度は左手で銃のポーズをつくりその銃口をアリスへとむける


次の瞬間、アリスの体がふっとばされた


「ぐぅっっ!」

アリスは血を吐き出した


サクヤは表情を一切変えることなく、アリスに向けて

さらに追撃を行う


アリスの体にどんどん衝撃が加わってゆく


「な”めんじゃぁあないわぁ!」


頭上に何かを投げる


次の瞬間、通常よりも大きくなった大型トラックが凄まじい速さで落ちてくる


サクヤはアリスへの攻撃を一旦止め、剣でトラックを真っ二つにする


ドガァァッッ!!


荷台に爆弾がつんであったらしく凄まじい爆音が鳴り響き、粉塵が巻き上がる



視界が晴れたとき既にアリスの姿はなくなっていた


「こちらシノノメ、幹部クラスと接敵したが逃してしまった。すまない」


『こちらミスミ班。こちらは死者2名、重症者3名出しましたが3人の運び屋の殺害に成功しました』


『こちらアヤセ班。こちらは死者1名、重症者5名。運び屋3名の殺害に成功しました』


『こちらワズミ、死者3名、重症者2名。ビェントの殺害に成功しました』


「、、、6人も逝ったか。命をかけて戦った皆に黙祷を捧げよう」


すべての戦闘に終わりが告げられた


雲が晴れ、月明かりが戦闘の跡を照らす

今日は満月だ




「うん、うん、そうか。なぜかシノノメくん達の突撃がバレていたと。よし瑞希みずき、緊急の会議を開く。全ての部隊長に集合命令をかけなさい」


ミズキと呼ばれた秘書の女性は、

「了解しました。それでは明日の午後3時ごろでよろしいでしょうか?紅葉こうよう総長」


「うん、それでいいよ。あ、あと例の子にも来てもらうように言っておいてね。彼は超機の未来だ」


「承知いたしました」

ミズキが部屋を後にする


コウヨウは席を立ち、月明かりを眺める


「君と会うのが楽しみだ。キキョウくん」





ハァーーッッ、ハァーーッ


息が荒い


シノノメ、アイツは想定以上だった


「助かったわぁ、アンタのおかげで離脱できたわぁ」


アリスの隣には黒色の仮面をつけ、腰からは刀をぶら下げた男の姿があった


「今日のところは撤退だ。おまえがやれないなら今、日本にある戦力じゃあ奴は殺せん」


「あら、あなたがいればアイツなんて余裕なんじゃないのぉ?」


黒仮面の男はシノノメの姿を見下しながら

「今はまだ俺とやりあうときではない。」


腰から剣を抜き何もないところを斬りつける

すると、次元が歪みワープホールが生み出された


「また会おう、東雲 桜夜」

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