第6話:君は奇跡のメイド。

武装ヘリが研究所の上空手前で止まった。

詐欺沼が地上に目をやると研究所の裏手にメイドが一人で立っていた。


鷺沼はヘリから顔を出して拡声器で怒鳴った。


「もう怒ったぞ、こうなったらそ、ネエちゃんごと始末してやる」


「いいか、おまえら、・・これで終わりだ〜」

「おまえらにはもう用事はない、殲滅してやる」


「撃て撃て・・・建物ごと破壊してしまえ!!」


詐欺沼が、そう言うなりヘリは研究所のほうに方向を定めメイに向けて

ミサイルを一発発射した。


ミサイルはメイめがけて飛んできたが、それをよけたメイは後ろで爆発した

ミサイルの余波で前方に飛ばされそうになった・・・

だが瞬時にハイーパーキャノンの銃口をストッパー代わりにして前に倒れる

のを防いだ。


二発目のミサイルが飛んでくる前にメイはキャノン砲の銃口をヘリに向けて、

トリガーを引いたままストッパーでしっかり自分の体を固定した。


ヘリから二発目のミサイルが発射された。

それを見たメイはヘリに向けてハイパーキャノン砲を放った。


だがヘリの発射したミサイルのほうが少し速かった。

ヘリから放たれたミサイルはメイに命中した。


だがメイの放った弾も確実にヘリの装甲をぶちぬいて爆発した。


炎に包まれたヘリは旋回しながら河川敷のほうに墜落していった。

ハイパーキャノンの反動で逃げるのが遅れたメイはヘリからの二発目の

ミサイルを避けきれずにまともに食らって爆風で飛ばされた。


シェルターの中でモニターを見ていた新一は急にモニターが 映らなく

なったので、慌ててメイを探しに出てきた。


「メイ・・・メイ大丈夫か?・・・メイ」


新一は吹き飛ばされたメイをすぐに発見した。

メイはガレキとホコリをかぶって倒れていた。


「メイ、死ぬな・・・メイ、メイ」


メイのそばまで来た新一はメイを抱きおこし・・・きれなかった。


「おも・・・重い・・・」


目を覚ましたメイが言った。


「お前、誰た?・・・」


「俺だよ、メイ・・・新一」


「新一?」

「そんなやつ、知らん・・・」


「俺だってば・・・」


「・・・・・・おれ?・・・しんいち・・・メイのしんいち」

「あ、新一?、え〜〜〜〜ん、怖かったよう・・・」


「よかった、頭をやられたかと思った・・・」


するとメイのほうが新一に抱きついてきた。


「お、おも・・・死ぬ、死ぬ・・・苦しい・・・メイ離れてくれ・・・」


新一から離れたメイは生まれてはじめて怖いと言う感情と泣くと言う

感情に目覚めた。


「怖かったよう、新一」


「あ〜あ、メイド服がぼろぼろじゃん」

メイのメイド服はボロボロに避けて、ほぼ裸に近い状態になっていた。

新一はすぐに自分の上着を脱いで、メイに着せた。


「メイ、大丈夫か?どこも怪我してないか?」


「大丈夫と思うけど・・・」


新一がメイを心配している間に博士がふたりのところまで来ていた。


「メイはこのくらいでは倒せん」

「それにしても派手にやってくれたもんだのう」


ふたりの背後で博士が言った。


「こんなことが続くようならメイ専用のバトルスーツがいるな」


研究所は、ほぼ破壊され、両隣にも被害がこうむったので、修理代が高く

つきそうだった。

敵のヘリが落ちたところが幸いにも河川敷だっため巻き込まれた被害者は

奇跡的にひとりも出なかった。


詐欺沼たちもヘリが落ちる寸前に脱出したらしい。


バッドピーポーもそうだが、世の中には悪事を企んでるやつはたくさんいる。

またメイを狙ってくるヤカラがいつ出現してもおかしくない。


でも、その度にメイは果敢に悪に立ち向かっていくだろう。


騒ぎが収まってメイは博士が言っていたとおり新一と一緒に暮らすことになった。


メイの感情回路には恐怖と泣くと言う感情が芽生えた。

そしてと愛って感情も・・・


今回の出来事は死傷者もいなかったと言うこともあって研究所のガス爆発と

言うことで処理されことなきを得た。


そして次の日、昨日の騒ぎがうそだったように何事もなく平和に朝を迎え、

新一は学校に出かけた。


「行ってくる・・・」


「新一、お弁当」


「ありがとう、メイの弁当は最高だよ」


「あ、そうだ・・・あのさ・・・メイ・・・君がシェルターを出る時言った言葉」

「僕のことアイシテルって・・・」

「あれって? 意味分かって、そう言ったのか?」


「アイシテルからアイシテルって言っただけだよ」


「そか・・・ま、いいか・・・でも、いいね、それ・・・」


「あのさ、もう一回言ってもらっていい?」


「愛してる・・・新一」


「あはは、いい響き・・・」


メイにとって新一は自分の命を引き換えにしても守るべき存在になった。


「じゃあね・・・メイ、行ってくるね」


「まって・・・行ってきますのおまじない忘れてる」


そう言ってメイは新一のほっぺにキスした。


「うほ・・・このおまじないはよく効くんだよな・・・」

「メイ、君は俺にとって奇跡のメイドだよ」


新一がしみじみ言った。


今のところ博士にも新一にもメイにも平和がもどり


「しんいち〜〜〜、はかせ〜〜〜〜・・・バンメシだぞ〜〜〜〜」


と、ふたりを呼ぶメイの声が、まほろば商店街中に響き渡っていた。


おじまいだぞ!!



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ミラクルメイデン(君は奇跡のメイド) 猫野 尻尾 @amanotenshi

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