第2話:はじめましてメイです。

「お〜来たか、新一」


「完成したって?博士・・・もう忘れてるのかと思った」

「そういうの、今までいっぱいあるもんな」


「バカモン・・・わしを見くびっては胃肝臓・・・いとかんぞう、なんちゃって」


「そんなの、いいから・・・」


「おう、これから除幕式だ」

「お前にその除幕式とやらをやらせてやろう」

「そこの白い布・・・それををひぱってみ・・・」


「これか、白いって・・・ずいぶん汚ったない布だな」

「なんかこう劇的にやりたいよな」


「オーケストラを雇う金なんかないからな」


「ま、いいか、要は中身だもんな・・・」


そう言って新一はおもむろに布を取った。


すると、どこかのメイド喫茶からスカウトしてきたの?・・・と思うような

可愛いメイドさんがちょこんと椅子に座っていた。


「お〜可愛い、めっちゃリアル」


髪はライトブルーのショートボブ。

大きな瞳に、お茶目でキュートな顔。

服は最初っからハウスメイドさんふうな黒の衣装にエプロンに黒の

ロングスカートを履いていた。


この子がメイドカフェにいたらきっと人気ナンバーワンになるだろう

なって新一は思った。


(この可愛さは博士のセンスじゃ出せないだろうな)


「で、博士、この子誰がモデル?」


「そんなことはどうでもよかろう・・・」


博士は言葉を濁した。

このメイドさんは今は亡き博士のお孫さんがモデルだってことは

言いたくないらしい。


「これ動くのか?」


「誰が作ったと思ってるだ・・・」


「だから不安なんだよ」


「やかましいわ・・・汚い手で触るなよ・・・」

「起動するぞ・・・」


そう言って博士はメイドさんの腰のあたりを指で押した。

するとメイドさんは大息をついて、二・三回まばたきした。


「ほほ・・・動くぞ〜・・・驚くのはこれからじゃ」


「メイ、聞こえるか?」


「聞こえる・・・」


「この子メイって言うのか・・・」


「メイの名前はメイク・ザ・イントロダクション「創造のテクノロジーの導入」 と言う意味から頭文字をとってメイと名付けたのだ・・・ハイカラであろうが

未熟者」


「ハイカラってなに?」


「おしゃれっちゅ〜ことじゃろ?・・・古すぎて分からんか?」


「知らないで使ってたの?」


「話の腰を折るな・・・そんなことはどうでもよかろう」


「メイ、こいつは新一・・・星野新一だ・・・」


するとメイが新一のほうを見て言った。


「星野新一?、話の腰を折るな・・・未熟者」


「わ〜博士と似てクチわる〜」


「言語能力はわしがインプットしたからな」


「もっと女らしくならない?・・・可愛げがないんだけど」


「今更な、修正するのに何時間もかかるからのう・・・面倒くさい」

「少しづつ自分で修復していくじゃろうが・・・」


「そうじゃ言葉は、新一おまえが教えろ」


「俺が?」


「それもまあ不安じゃがな・・・」

「言語以外は、どこもバグはないと思うが・・・メイ立って歩いてみろ」


そう言われたメイは、椅子からひょこんと立って自分の足で歩いてそして

いきなり裏の河川敷に向かって走り去って行って、あっと言う間に見えなくなった。


「歩けって言ったんじゃがのう~・・・」


「足はや・・・え、目覚めた一気でもう家出かよ」


3分ほどして、向こうからメイが走って帰ってきた。

手にソフトクリームをふたつ持っていた。


「この子どっかでアイスパクって来たぜ」


「ま、道徳心やモラルも今後の課題かのう」

「ちゃんと動いとるようだから多少のことは目をつぶろう」

「さて、これで毎日ラーメンだの焼きそばだの即席物から解放されるわい」

「メイのAIには500万食ぶんのレシピが入っとるからな」


「500万だって?・・・それだけあったら逆に忘れそうだな博士」


「こんにちは新一、メイです、はじめまして、よろしくね」

「ほいっ、あげるアイス」


「おお今度は、めっちゃぶりっ子じゃん」


メイはパクってきたばかりのアイスを新一に差し出した。


「食え!!」


「おうっ、ありがとう」

「俺のこと新一って呼んででいいから・・・メイちゃん、改めてよろしく」


つづくぞ。

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