ミラクルメイデン(君は奇跡のメイド)

猫野 尻尾

第1話:博士と新一。

ここは、まほろば商店街。

哀愁のある名前に名前負けしている商店街・・・町民によって賑わう気配など、

どこにもないさびれた商店街。


その商店街の中ほどに商売とはまったく関係ない家が一軒あった。

家と言うか鉄骨とスレートでできた鉄工所のような建物だった。


そこは発明家の「お茶柱 立蔵博士おちゃばしら たつぞうはかせ」の研究所だ。

商店街にはそぐわないしっかり場違いな存在だった。

商店街の中に無理やり建てたのかそれとも商店街ができる前にすでに建って

いたのかそれはさだかではない。


その博士の家の裏に広場があってその一角に「星野 新一ほしの しんいち」の家があってその向こう側が河川敷になっていた。


新一は子供の頃から親戚みたいに博士の研究所に出入りしていた。

勉強そっちのけで博士のパシリや助手のようなこともしていた。


その日、新一が博士の研究所を尋ねると博士から驚きの発言があった。

博士が急にメイドのアンドロイドを作るといい出したからだ。


「メイド?」

「博士、メイドのアンドロイドって?・・・あられちゃん?」


「違うわ・・・もうちょっと年上のメイドだわい」


「厳密にはアンドロイドじゃなくてガイノイドって言うんじゃがな」

「男性型がアンドロド、女性型がガイノイドっちゅうんじゃ」


「そろそろ自分で飯を作るのもめんどうになってきたからな」

「それに最近わしの研究を狙って妙なやつらの不穏な動きかもある」

「だから、わしのボディガードも兼ねての・・・」


「研究を狙って?って・・・物好きなやつらもいたもんだな」


「やかましいわい」

「よってメイドを作ってわしを守ってもらおうと思ってな」


「それならメイドなんかじゃなくマッチョなロボット作ったほうが

よかないか?」


「バカか?、おまえは・・・ターミネーターじゃあるまいし

そんなもの作って何が楽しい・・・筋肉バカなどいらんわい」

「ピチピチの若いメイドのほうが毎日見てて楽しいだろうが 」


「言えてる・・・動機は不純だけど・・・賛成」


「芸能人の誰かに似せるってのもあるがな・・・それじゃ個人としての

個性が生まれんし、肖像権の問題もあるしのう」


「あったく新しいメイドを作るほうがよかろう?」


「博士、俺も手伝おうか」


「いやいや、作るのは女の子じゃ、未成年には刺激が強い工程もあるからな・・・」

「わし一人で作る」


「オリジエント工業にも協力してもらわんといかんしな」

「ロボット研究者の石川 なにがしにも協力を仰がんといかんし・・・」


「未成年は立ち入り禁止じゃ」

「完成間近になったら連絡してやるからできあがるまで待っとれ」


って博士が言ってから、3年がすぎた。


その間も新一は博士の研究所にときどき顔をだしたが一向にメイドを

作っている気配はないように思えた。


もしかしたら極秘裏にことが進んでいたのかメイドを作ると博士が言い

始めた頃、新一は14歳だった。

あれから3年・・・新一は高校生になり17歳になっていた。


だからメイドのことなど、すっかり忘れてた頃に博士から連絡が入った。


「完成したぞ、新一・・・研究所まで来い」


「また、ガラクタ?」


「あのな・・・見せてやらんぞ・・・メイドが完成したんじゃ・・・」


つづくぞ。

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