自作『季節は巡りて』を分析して批評する

 今回はタイトルのとおりカクヨムにて発表した拙作『季節は巡りて』をできるだけ客観的に分析して、今後の創作に活かすのが目的です。自戒がメインです。もし、拙作を読んだ方がいましたら、裏話としても読めるかと思います。ネタバレのオンパレードのため、しばらく空白を設けます。





















 かなり空白を設けたので大丈夫でしょう。

 『季節は巡りて』、クローズドサークルかつ見立て殺人です。



 見立て殺人は横溝正史に影響されました。見立てるものは、ことわざをチョイス。マザーグースも考えましたが、海外のものなので、日本ではピンとこない。かつ、偉大な先人がいたのでボツに。



 クローズドサークルと「読者への挑戦」は有栖川有栖の影響です。主人公たちを大学生に設定したのもそうです。



 主人公を法学部生にしたのは自分が法学部出身で書きやすいからという面も大きい。今後はもっと見識を広めて、自分の経験に頼らないことが重要。



 また、「読者への挑戦」について。初のミステリーで盛り込むのは意欲的だった一方で、「ノックスの十戒」に則るのは少し違う気がする。



 内容上しょうがないとはいえ、次作は「ヴァン・ダインの二十則」にも対応したい。つまり、犯人は一人の方が読者にもフェアだと感じる。また、本当に作中の手がかりで読者が論理的に犯人を指摘できるのか、疑問が残る。




 本作は見立て殺人なわけだが、タロットカードに見立てているのでは? と読者をミスリードできているかは疑問が残る。ただし、小道具の一種としては機能していると考える。



 ことわざ辞典について。これに見立てることで、読者に「犯人は異常な殺人者」との印象を植えつけ、犯人を一人と誘導できたように思う。



 夏央の性別の勘違いについて。本筋には関係ない。だが、犯人が読者にバレやすいため、別の箇所で驚かせる必要がある。一定の効果があると期待したい。



 夏央を女性だと明示しているのは、腕時計のシーンだけ。読み返すと冒頭の着替えるシーンや手荷物検査のシーンで女性陣とザックリ書くことなどでぼやかしている。

 また、当初考えていなかったが、大島喜八郎の口癖を利用し「夏央嬢」と呼ばせることで、性別の勘違いを読者に対して自然に種明かしできたのは、まあまあだ。



 春夏秋冬の間について。描写が乏しい。都合のいい単なる小道具になっている。改稿するならば、かなりのテコ入れが必要。



 全体に言えることだが、地の文で人の性格・個性を表現できていない。キャラクターが無個性的になっている。また、由美子が看護師なのも筆者に都合がいいから。看護師であるリアル性を持たせるには、より綿密な取材が必要。



 総評……60点。ただし、少し甘めな評価。

・良かった点

 小道具としてのタロットカードの利用

 夏央の性別のミスリード



・改善すべき点

 全体の文章力

 無個性なキャラ

 春夏秋冬の間の描写の乏しさ



 これらを鑑みるに文章力を上げれば、必然的に全体のボトムアップにつながるであろう。もし、公募に出すのであれば、多数の本を読み、多数の作品を描くことで文章力をあげる必要がある。



 以上、簡単ではありますが、『季節は巡りて』の自己分析結果でした。

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