恥上の星

姫「影長…」


影長の足に抱き着いて、僅かに震える姫。


影長「ご安心ください、この影長。神さえぶち抜いて貴女をお守り致します」



愛刀の双剣を構え、黒い雷が全身に巻き付いて。特に、足と手にはスプリング状の雷が虎の様な縞模様に見えた。



まるでスパーリングワインが弾ける様に、雷が所々で気泡となってはじけた。



影長「変態どもよ、この影長の愛こそが正道であると証明してみせよう!」



影長の正面には馬に乗って、様々な動物の耳をつけハイレグの水着を着た漢達が居た。



姫「北国のクソ寒い豪雪の中でも、あの恰好で鍛練を欠かさぬ五MEN将軍達じゃ。ぬかるでないぞ」



五MEN「「「「「ロリコンの影に変態等と…、照れるではないか!!」」」」」



姫「しかも、ホモでSもMもいけてストライクゾーン広めの変態どもじゃ。ちなみに、城主はそこに加えて武器がフンドシときておる…。もし、我らが負けた場合領民にはあれを強要するそうじゃ」


五MENの服装を指さす姫、青ざめる影長。


影長「男もですか?!」


姫「むしろそれを広める為に、奴らは侵略戦争を繰り返しておる」


瞬間気だけで、破城槌が吹っ飛んでいく。


影長「お遊戯会やパジャマなどで見るなら眼福だが、俺の大嫌いな筋肉質の漢も普段からあれをだと?!許せん、断じて許せん!」



デブネコ「私が浴衣でも着て添い寝でもしましょうか?影長様」


影長は血走った目で殺気を込めて睨み、デブネコが少し後ずさる。


影長「ちびネコになって出直してこい!」


姫「お主もたいがいじゃの、じゃが母上を除けば最強はこやつじゃ」



デブネコ「姫の巨大カラクリや、発明の武装群よりもですか?」


姫「いつかは…、こやつが傷つかずに済む程に強いカラクリを作ってみせる」


拳を握りしめて、影長を見上げる姫


デブネコ「姫様、我ら影衆もおります」



姫「デブネコ、すまぬ」



優しい陽だまりの様に笑う、デブネコ。



デブネコ「私も、影長様をお慕いしております故」


まるで、三度笠の様な手が姫の頭を優しく撫でる。


デブネコ「こんな時代だからこそ、己の道を貫くには強くあるしかないのです」


姫「判っておる、か弱いこの身が恨めしいの」



影長「いざぁぁぁぁぁぁぁ!」



咆哮のごとく声だけが響き、声よりも速く黒い雷が戦場を走り抜けた。



走る馬の側面に張り付いて躱したり、大太刀を尻で真剣白刃取りして叩き折りながら点滅する様に縦横無尽に走る。



デブネコ「どんな用途であれを鍛えていたか知っているからこそ、感動はしても尊敬はできませんね」



姫「どういうことじゃ?」


デブネコ「走る馬にはりついて隠れられるという事は、そこにモノがあれば隠れられるという事です。揺れる布に張り付いて風に重さを感じさせずそこに居られるというのは、天井や床や襖を警戒できるもの達から考えても意識の外。色んな所に忍び込めるという、例え更衣室等にも…」


姫「あぁ?!(超低い声」


デブネコ「音より早く移動できるのも、バレてから逃げて消えて他人に罪を押し付けるのに使ってるんでしょうね」


姫「ふぁぁ~~~~?!」


デブネコ「敵の将軍五人の嵐の様な攻撃の中で、手や足のみならず口や尻で武器破壊できるのも樹の枝に尻で挟んでぶら下がる様に止まって居れば両手両足口まで自由になっています。色んなものを投げられても、如何様にもしのげるという事」



姫「あやつ、帰って来たら折檻じゃ!」


デブネコ「全くです、我らだけの時に堂々と一緒に入ればよいのです」


その瞬間、姫がデブネコをガン見した。


デブネコ「何か?」


姫「お主かわっておるのぉ」


デブネコ「戦国の世の女子は強い男が良い、それだけでございます」


姫「好きにせい、人の恋愛に首を突っ込むなどあってはならぬ。しかし、この身は守っておくれ。それが、そちらの仕事だからの」


デブネコ「はい、ありがとうございます♪」



その後、変態どもを駆逐した影長は女中や姫に袋叩きになりましたとさ。




彼の名は影長、敵も己も変態なれどその道を逝く男



おしまい

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黒雷の忍 めいき~ @meikjy

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