かいぐり


影長「あー、先日は酷い目にあった」


影衆「いくら戦国時代っていっても、夜襲で夜勤手当は出ませんからね」


影長「お前らはデブネコと姫に任せて早々引き上げたろうが!」


影衆「影長様だって、掃除と片付けしかほぼやってませんやん」



影長「あんな、怪獣大戦争に巻き込まれたら死ぬだろが!」


影衆「俺達だって、こんな安月給で命かけたくありませんて!」



そういって、お互い微妙な顔になった。



ちびネコ「かげおささま~、かげおささま~」


影長「どこの子だ?」


デブネコ「私です、影長様」


影長&影衆「!?!?」


デブネコ「影長様は、小さい方がお好きとお聞きしまして頑張って変化の術をマスターし130センチまで小さくなってみました」


そこには、金髪の中に黒髪のラインが入った超可愛い幼女が居た。


影長「どうやったら、あの怪獣がこんなにプリティに……」


ドン引きしながらも、左手でそっと頭を撫でる影長。


ちびネコ「かげおささま~、かたぐるまして」


きゅるりんとした目を、キラキラさせながら幼女に懇願される影長。


影長「承知!」


ちびねこ「わーい」


肩車した瞬間めり込む大地、影長の脚が膝まで埋まりイヤな汗でびっしょりになった。



影長「おい、デブネコ。もしかして、重量は据え置きか?!」


ちびねこ「うん☆」


気炎をあげ、気合を入れて足を引き抜くと水蜘蛛の要領で大地に立つ影長。



影衆「やっぱり、合法ロリとは言え天罰が落ちたんじゃ…」


影長「神に逆らい、ルールを破ろうとも俺はこの道(ロリコン)を逝くっ!」



自身の脚に向かって、強く拳を握って叩く。



影長「まだっ…、俺に戦えと言ってくれるのか。ならば我が脚よ共に逝こう!」


影衆「(無茶苦茶カッコいい顔と台詞で、凄く残念な事いってんぞ)」


姫「わらわものりたい」


そういって、姫が背中の方から飛び乗ってくる。ちびねこは素早く左肩の上に移動し、姫が右肩に座る様に乗った。



まるで、世紀末覇王の様な血管が手と足に浮き出る影長。


影衆A「(なぁ、敵将のクビ一人でとりに行った時より苦しんで無いか?)」


影衆B「(それでも、苦しみながら凄い幸せそうだぞ?)」


姫「影長走るのじゃ!」


影衆A「(あれで走れる訳ねぇだろ、何言ってんだ)」


影長が、一気に息を吸い込むと震えながら両足の踵が大地から離れてつま先立ちになって前傾姿勢となり駆けだした。


影衆B「(走りだしたぞ?嘘だろ?!)」


姫&ちびねこ「さいこう~」


影長「重さに震える両足を、萌える心で焼き尽くさん!」


高下駄で山を走る要領で、影長が城の庭を駆けていく。


影衆B「すげぇ!すげぇけど凄く残念な香りしかしねぇ!!」



彼の名は影長、とても残念な男。


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