第32話 面倒事
「ありがとうございます。彼女もきっと喜ぶでしょう。」
「いえいえ。それよりも…いつになったら教頭先生はいらっしゃるんですか?それに先程からずっと電話をしていますが。いやまぁ…電話を許可したのは私なんですけどね?」
「もうすぐやってくるとは思います。なのでもう少し…もう少しだけ待ってくれませんか?」
「はぁ…分かりました。もう少しだけ待つことにします。」
そうして数分が経った。俺は必死に苛立ちを隠していると校長室のドアが開いた。ドアを開けて入ってきたのは教頭先生だった。
教頭先生の手にはしっかりと資料が握られていた。そして俺の方を見て申し訳無さそうな顔をした後、俺に向けて手に持っていた資料を差し出してきた。
「えっと…遅れましたがこれをどうぞ。」
「拝見させていただきます。ですがその前にお聞きしたい。何故ここまで遅れたんですか?」
「それが…資料を持ち出していたものがいまして。その人物に確認を取るまでに時間がかかってしまいました。」
「なるほど。ですが、退学に関する資料なんですよね?退学者でも出たのですか?」
「いえ…そういうわけではないのですが、処理に必要でして。」
「そうですか。資料に必要なのは十分に理解することが出来ましたが、1つ疑問があります。そもそも資料を持ち出す必要はないのでは?必要であれば、資料が保管されている場所にノートパソコンなりを持ってくれば良いのではないでしょうか?」
「それはそうなのですが…あいにくとその担当はノートパソコンを持っていないのです。彼は基本的に、紙ベースで授業を行っていますので…」
「そうなんですね。今の時代に紙ベースというのは少しつらいんじゃないですか?」
「まぁそれぞれの教師のやり方に任せていますので。特に心配していることはありません。それに心配しなくても大丈夫です。そういう人なんで。」
「わかりました。まぁ取り敢えず遅れた理由については把握しました。それじゃあ早速資料を拝見させていただきます。」
資料には、先程話をした時に聞いた内容とほとんど変わらない内容が記載されていた。おそらく嘘をついたりはしていないのだろう。だが資料のつくりがなんというか…甘い気がするのだ。
「あの…正直に言わせてもらいますが、この退学に関する資料…すごくつくりが甘いと思うのですが、一体どういう風に作ったらこうなるんです?」
「その…退学に関する資料なのですが、私が担当しているわけではないので。他の方に聞いてください。」
「そうなんですか。はぁ…もう良いです。取り敢えず確認させて頂きました。資料にかかれている事自体は間違ってないようですし、特段これ以上追及することはありません。」
「そうですか。」
「ですが追求しないだけであって事実確認は終わっていません。これから事実確認をしていき、この高校が取る今後の対応についてお聞かせください。」
「それなら私が答えよう。まず今後とも特段対応するつもりはないと自身を持って答えよう。」
「…?どういうことですか?」
「もし彼が本当に痴漢をしてなかったとしても、今後とも同じ対応を取ると言ったのだ。あちらから何か話があっても、退学処分を取り消したりはしないと言っているのだ。」
「そうですか。おそらく退学処分に関して、なにか話をしたりすることはないと思いますよ。菊池くんは別に退学でも最悪は構わないと言っていましたし。」
もちろんまだ退学でも構わないという話をされているわけではない。これはブラフだ。目的は他にある。結局のところ翔太にとって利益につながるれば良いのだ。
翔太がこの先、面倒事に巻き込まれないような環境を作ること。それと、翔太に対して面倒事を起こそうとするやつがいなくなれば、俺にとっては嬉しいのだ。
しかしながら、今はまだ問題を解決することが出来ていない。翔太にはまだ苦労をかけてしまうだろう。そこが少しつらい。
翔太には出来る限り早く普通の生活に戻って欲しいのだ。翔太が元の生活をするためには俺が頑張る必要がある。
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