第二章

1.これまでの振り返り

第1話 【こみゅ限定】一週間振り返り雑談 1

【こみゅ限定】一週間振り返り雑談

概要欄:雑談でわかるリンドヴルム。ネタバレも含むかもしれません。

※この雑談は魔衛庁の許可を得ておりますが、余計な事を話すと消されます。


『リマインドありがとう』

『二回行動嬉しい!』

『後、5分』

『相変わらず情報が多い概要欄』

『そもそもネタバレしたら消されない?』

『確かに』

『今日はチキンレースか』

『俺達が試されている』


 もう少しで配信が始まるので概要欄と待機画面のコメントを見ていた。

 コメントはいつもよりも沢山流れていて、思わず全体公開してしまったんじゃないかと確認してしまったほどだ。

 設定は問題なし、コメントもファンコミュニティのオレンジ色で統一されている。と言うことはと言うことなんだろう。


「真白。カフェラテです」

「ありがとうございます」


 リンドヴルムさんの声がきこえたので、振り向くとカップを持ったリンドヴルムさんが私の隣に座った。

 リンドヴルムさんは座ると私にカップを渡したので、そのまま受け取る。

 受け取った時にしたコーヒーの良い香りで、少し気分が落ち着いた気がする。


「何を話そうか迷いますね」


 久々の雑談。楽しみにしていたが、コメントの多さに不安の方が強くなる。ダンジョンで魔物討伐している時はあまり気にならなかったが、家だと少し気持ちに余裕があるせいか勢いよく流れるコメント量に圧倒されそうだ。

 誤魔化すように軽い口調でリンドヴルムさんに言うとリンドヴルムさんは穏やかな表情をした。


「いつも通りで良いんですよ」

「わかっていますが、改めて見ると緊張するんです」

「いつも通りの真白が一番素敵ですよ」


 リンドヴルムさんはふわりと笑いながら言うとコップを持つ。そしてそのままカフェラテを飲み始めた。

 いつも通りが一番素敵。聞こえの良い言葉だが、それは変化を許さないと言う意味もある。本当に厄介な竜だ。


「知ってますよ」

「ふふっ。僕の気持ちを知って頂いているのは嬉しいですね」


 あぁ。もう。リンドヴルムさんの事を好きになるなと言うなら、そう口説くのはやめて欲しい。って言ってもわからないんだろうな。諦めるようにため息をつくとコメントを見た。

 コメントは止まることなく活発に動いている。ちょっと変わったのは所々『待機』と言う言葉が出てきた事くらいだ。『待機』が段々と増えて来たので、時計を見ると残り二分。そろそろ時間か。


「後、少しですね」


 リンドヴルムさんの方向を向きながら伝えると、リンドヴルムさんが飲んでいたカフェラテを机の上に置き、時計を見始める。そして時計が二十一時になると配信開始のボタンを押した。


「こんばんは。今日もありがとうございます。羊川真白です」

「こんばんは。リンドヴルムです」

「雑談は久しぶりな感じがしますね。今日もよろしくお願いします」


 カメラに向かってお辞儀をすると。『こんばんは』とたくさんのコメントが流れた。よし。まずは注意事項だ。


「始める前に一つお話があります。今日はではなく今日もですね。魔衛庁に確認していない事は答えられません。リンドヴルムさんに関する質問はNGです。予めご了承下さい」


『説明サンクス』

『了解』

『おk』

『余計な事話すと消されるからね』

『大丈夫だ。問題ない』

『そもそも雑談しに来た』


 すぐにリスナーさん達のコメントが流れる。

 思ったよりも受け入れてくれるコメントが多く安心した。問題無さそうだし、リンドヴルムさんへ視線を移す。するとリンドヴルムさんが口を開いた。


「前置きは終わりましたので、そろそろ始めましょうか。まずはゴブリン三百体からですかね」


『200体乙』

『おつ』

『実は凄かった。ゴブリン300体耐久』

『耐久配信って大変らしいね』


「耐久配信が大変ですか? 確かに集中力が必要ですからね」


 ゴブリンとは言え、三百体も相手にするのは骨が折れる。やっぱり強い人は強い魔物を討伐する方が楽だし、好まれないだろうな。


『集中力以前の問題らしいよ』

『普通はそこまでスタミナがもたないらしい』

『真白ちゃんのつよつよコントロールはレアらしい』

『ゴブリン300体倒せるのに、なんでキングゴブリンを倒せないのか話題になっていた』


 なんでキングゴブリンを倒せないのか。リスナーさんのコメントが気にかかる。あの時はレベルも全然足りなかったし、あり得ない話だ。


「キングゴブリンはまだまだ先ですよ。あの時の私はまだ推奨レベルにすら届いていませんでしたし」


『弱者に見せかけた強者の言葉』

『私何かやっちゃいましたか(ゴブリン200体)』

『わかりにくい強さだな』

『そう言えば、コントロール激強だからスタミナ切れを起こさないよう勝手に力制御されてるって噂が出てたけどほんと?』


「制御?」


 なんだろう? そのまま勢いよく流れるコメントを見ながら考えていた。

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