紅屋のフジコちゃん　― 鬼退治、始めました。 ―

十才の誕生日、あたしは「鬼」に家族を殺された。

鬼と人間が共生する現代日本。
鬼に家族を殺された過去を持つ藤子奈々は、罪を犯した鬼を裁くことのできる「鬼狩り」を目指して育成校に入学し、どうにか卒業して研修生となった。ところが、配属された研修先の「紅屋」は、平凡な自分とは不釣り合いの特Ａランク事務所。
所長と副所長のふたりだけの小規模事務所である上に、このふたり出自も経歴もとんでもない。所長の天野も副所長の桐生も「鬼狩り」の名門御三家の出身で、二十代の若さでありながら「鬼狩り」の中でも上位数パーセントの特Aライセンス保持者だった。おまけに、研修生を採用するのは自分がはじめてだという。
採用された理由もわからないまま、夢に向かって研鑽を積み重ねる奈々だったが、彼女には所長たちに言うことのできな…続きを読む