第7話 飼い主の友人

 「急で悪いんだけど、今日友達来てるんだ。この部屋に来るけど、攻撃はしないでね。」


 「なんだと!聞いてないぞ飼い主このやろぉ!」


 「いらっしゃーい!」


 いやちょっと待て。聞いてー!


 飼い主の声と共に、ニンゲンが1、2、3…


 3人も入ってきた。

 初めて今までにも飼い主以外の人間は見てきたが、こんなに近くで見るのは初めてだ。確か母猫は、「初めてのものを見るときはそれをよぉく観察するのよ。」と言ってたな。

 よおし!まず1番端にいる奴。身長は飼い主よりも少しだけ高めで、頭から伸びている毛は少し長め。服はふんわりした色で、ほわほわした雰囲気…


 「ねえ。あの猫めちゃ見てくるんだけど。」


 !?


 気づかれただと!かなりの強者かっ。


 「おい飼い主、そいつ危険だぞ。」


 「こらこら、威嚇しないで。」


 「私猫苦手〜」


 「まじ?私は結構好き!」


 ジリジリと3人が間を詰めてきた。


 しまった、逃げよう!と思ったけど、後ろはもう壁だ。


 (あれ?人生最大のピンチでは?)


 「フシャアアアッ」


 とりあえず威嚇しておけばなんとかなるか?いやでも相手は自分の何倍も大きいんだぞ。じゃあどうすれば...


 そう考えている間、飼い主は何かを1人に渡していた。


 「これ、新しく買った猫じゃらしだから遊んであげて。」


 「いいの?」


 

 チャリン!

 突然、音をたてながら目の前にふわふわしたものが落ちてきた。


 (なんだ?)


 手でパンッと叩いてみると、そいつはいきなり走り出した。

 咄嗟に体が動き、そいつを追いかけた。

 その後のことはよく覚えていない。

 気がついたらへとへとになるまで追いかけていた。

 けど、これはなかなか...


 楽しいっ!


 飼い主の友人が見ているのも忘れ、床にベタ〜と横になった。ひんやりとしていて気持ちがいい。


 その時、ひょいっと飼い主に持ち上げられた。

 

 今日は特別に、許してやるか。



 


 


 


 

 


 

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僕は飼い猫 一宮琴梨 @maccha3150

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