第6話 新しい友達

 ガチャ。


 「ただいま〜。いい子にしてたかい?」


 もちろん!飼い主がいない間、ここを守ることが僕の仕事なんだから。抜かりないぞ!


 「ねえ、そろそろ慣れてきた頃だし、うちのワンコたちと仲良くしてくれない?」


 そう言って、一度部屋を出ていった。数分後、黒くて小さな、もふもふとした物を抱えてきた。

 いや、よくみるとあれは...犬じゃねえかっ!


 「黒チワワの、リリーちゃんだよぉ〜。」


 「リリーちゃんだよお」じゃないよ!早く追い出せ!最近この部屋にこもってたから見なかったけど、元気そうだな、おい。


 ゆっくりとこちらを向き、目がこちらを捉えたと思った時にはリリーは僕に飛びついてきた。


 「ぎゃあぁあ!」


 「ふふ、よかったね、リリー。」


 「いやよかねえよ!一応僕も男だから!逃げなきゃいけないの!」


 部屋中を走り周り、ついに追い詰められてしまった。


 しまった。どうやって...

 辺りを見回すと、飼い主がよく服を入れている四角の箱があった。

 あの上ならいける!


 思いっきりジャンプして見下ろすと、下で悔しそうな顔をしているリリーが見えた。


 「どうだ!ここには来れないだろう。ハッハッハ!」


 優越感に浸っていると、飼い主が口を開いた。


 「ちょっとぉ?リリーは女の子よ。優しくしてあげて。仲良くなりたいだけだから。」


 「な、仲良く...だと?」


 下を見るとリリーはさっきと全く違うウルウルとした目でこちらを見上げていた。


 「お前、友達とやらになりたいのか?」


 言ったことがわかったのか、コクッと頷いた。


 「しょうがないな。一応僕も男だしな。女を悲しませるわけにもいかないよな。」


 トッと床に着地すると、リリーが近寄ってきた。

 

 ただし、獲物を見つけたような顔をして。


 「ぎゃ、ぎゃああああぁああ」




 結局、一緒に追いかけっこして仲良くなれました。


 


 

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