第5話 爪研ぎの誘惑

 ふわぁ〜。


 よし、今日は飼い主がガッコウという場所に行く日なのでアレをするか。


 「じゃあ、行ってくるね。いい子に留守番しててね。」


 飼い主が出かけたのを見計らって、僕はサッとケージから出た。


 アレというのは、爪研ぎのことだ。やらないと変な感じがするし、伸びすぎて大変なことになってしまう。

 なにより、こんなに爪が長かったら危ない。もちろん、飼い主を怪我させたくないとかじゃないからな。

 

 自然界では、そこら中に爪研ぎをする場所があったけれど、この場所でどこもかしこも爪痕だらけにしたら飼い主が怒る。

 前に、飼い主が普段寝ている場所でやったら、とても怒られた。


 しょうがない。またあそこでやるか。


 飼い主がどこからか持ってきた丸い柱にそっと両手を添え、ひと思いに力を入れる。

 ガリッ、ガリっと心地よい音がなって、心が安らぐ。


 ふぅ〜スッキリした。今日もいい1日になりそうだな。

 飼い主がいない間、ここをしっかりパトロールしよう。今日も1日頑張ろう!


 

 

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