エンディング


 *


「……ん……え?」


 私は、リビングのソファの上で目を覚ました。日も傾いている。もうすぐ、夕方。


 テーブルには、食べおわったポップコーンと空になったコップ。テレビからはエンディングテーマが流れていて、キャラクターたちが元気にかわいく踊っている。


 目をこすり、あたりを見る。いつものリビング、いつものソファ、いつもの日曜日だ。


「じゃあ、今までずっと……夢?」


 アニメの中に入ったことも、弟に再会したことも、全部?


 そんなことって、あるの……?


 ちゃり……ん。


 起きあがった私の首元で、小さく音が鳴る。


「!」


 音の正体は、エメラルドグリーンのペンダント。


「夢じゃ、ない」


「起きた? 芽衣姉ちゃん」


 と、男の子の声が聞こえた。


「姉ちゃんが観たいって言った映画なのに、途中でねないでよ。まぁ、なつかしかったからいいけどさ」


 明るくて優しい、男の子の声。私はずっと、この世界でこの声を聞きたかったんだ。


「今日もみんなおそくなるって。どうする? もうひとつ、なにか観ようよ」


 キッチンから、弟が顔を出した。


「芽衣姉ちゃんは、なにが観たい?」


「……アニメ」


 私は言った。



「笑って、泣けて、世界に入りたくなるくらい夢中になれる、アニメがいい!」

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メイク・アニマ 河端夕タ @KawabatayutA

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