アニメの世界はリモコンとともに。
おっきなねぇねとしてきょうだいちゃんたちと遊びまくってやろう! と意気ごんで、一時間。
私は鬼ごっこの鬼役で走りまわって、お絵かきでは顔に落書きをされて、最後は馬になってみんなを背中に乗せて……力尽きた。
「……つかれるし」
「情けネェな、メイ! ひとりっ子じゃネェだろう?」
減らず口をたたくリドリィも、羽が花柄模様になっている。
「そうだけど、何人も相手に遊びまわるなんて、初めて……」
小さい子の相手は、弟のあーちゃんと遊んでいただけで、こんな経験はなかった。それに、昔は私があーちゃんをふりまわしていた。反対の立場になると、あーちゃんに心の底から謝りたくなった。
「おっきなねぇね! これ、なぁに?」
「ん?」
私の右のポケットから飛びだすものを、きょうだいちゃんたちが指差した。
「これ……リモコンのこと?」
それは使いなれた、家のテレビのリモコンだった。
こちらの世界に吸いこまれるとき、にぎっていたものだ。お城の部屋に置いておくのも変だし、そのまま持ってきちゃったんだっけ。
「りも?」
「こん?」
「りもこんって、なに? 食べ物?」
コカゲ帝国の子たちは、そろって首を傾げている。
「そりゃそうだよね。王国にもテレビなんてなかったし」
この世界には、テレビだけじゃなく機械のようなものはどこにもない。お守りくらいの気持ちで持ちあるくだけだ。
「ソイツの使い方、教えてやろうカ?」
その声は、やっぱり私の頭の上から。リドリィが得意げに胸をはっている。
「なんでリドリィから教わらなきゃいけないの?」
「別にいいだロ。リドリィ様のありがたぁいお言葉を、知りたくネェのカ?」
えらそうに……と、思うだけで口には出さない。
「そのリモコンは、アニメの世界に迷いこんだヤツの、お助けアイテムってトコロだナ」
「お助けアイテムぅ?」
「オウよ。まぁ、使い方はフツーのリモコンと変わらねぇサ」
そう言って、リドリィがつらつらと説明したのは、こんな具合。
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ひと通り聞いても、私はピンとこない。
「テレビもないのに。使うもなにもないでしょ」
「わかってネェな、メイ」
リドリィは私の頭から羽ばたいて、ニヤニヤ笑って言った。
「ここはお前が観ていたアニメの世界だゼ? それさえあれば、お前は無敵なんだヨ!」
無敵?
もっとわかりやすく言ってほしいし。
「しょうがネェな。百聞は一見にしかず、カ」
そう言うと、リドリィが「ついてきナ!」と、窓の外に飛んでいった。
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