第3話 不気味な縁

 10月末に伯父が亡くなり、季節は12月に入った。


 父は体調が優れないと言うことで、姉と時間が合う土日で片づけを続けた。


 その頃、人形の夢は更に頻繁に見るようになっており、ある朝の通勤時などは、通勤電車で前に立っている女性の顔が一瞬人形の顔に見えて、かなり焦った。


 疲れていたのもあるし、意識していたのもあるだろう、それでも気味が悪いのは確かだった。


 殆ど人形供養に出して、もうないだろうという頃に通勤電車で女性の顔が人形に見えたので、不思議に思っていたが、その週末に姉と伯父の家の掃除をしていたら、棚の中から人形の首だけ出てきて、俺は思わず本物の首が出てきたのかと勘違いして、人形の首を掴んだ状態で尻もちをついてしまった。


 それでも、なんとか整理は終わり、新年を迎えるころには人形供養も出し終わり、あとは人形以外の遺品整理に入った。


 年が明け、調子も回復した父も加わり伯父が集めていた絵画などの処分をどうするかなど話し合いながら、作業を進めていたが、正月も終わり1月中旬頃にまたもやおかしな夢を見た。


 夢の中で伯父の家の前に暴力団みたいな男性が5~6人立っていて、伯父の家を眺めて親分らしき男が「もう、この家に用はねぇ!」と言って去っていく夢だった。


 その夢を見た時に根拠は何もないが「悪霊とかそういう類ではなく、魔や鬼の類だ……」と夢の中で咄嗟に思い、彼らに見つからないようにそっと眺めているというそんな夢だった。


 目が覚めて、これでやっと障りみたいなものは終わるかなと不思議とそんな感覚がした。


 そして、その後、仕事や人間関係は順調に進むようになり、久々に昇進もした。


 私生活でも円満に事が進んでいるし、やはり、運気が悪かったのは障りの影響かなとも思っている。


 それも全て終わったと思ったのが、2022年の春ごろで、それから1年以上経つ。


 今も特に悪いことはないが、気になることが一つある。


 夏前くらいに、夢に出てきた暴力団らしき男性たちが俺を探している夢を見たのだ。夢の中では亡くなった伯父が出てきて、「お前のことを聞かれたけど、出かけていると嘘をついて誤魔化しておいたよ!」と伯父は得意げに俺に言っていたが、俺はその夢が今でも少し気になっている。


 そいつらが、うちの家系の因縁でまとわりついているものだったら、現在のターゲットは家長である俺になるからである。


 人形のことを供養し、運気が元に戻ってきたのは良いことだが、あの夢に出てきた男性たちにこれからもターゲットにされないことを祈るばかりである。

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人形の呪縛 888 @kamakurankou1192

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