# 3 純潔の騎士 ⑩
ギルドと王国軍の会合は進み、佳境に迫っていた。
現状、良好な状態で言葉を交わせている、その大きな要因はトーリの言葉に
有志で集まったハンターたちには、今回の
ギルド側としては
それからは派遣されて来た王国軍に共有されていなかった
内容のほとんどは既に知っているものだったが、知り得ないものもあった。
「ショウヒさんとメリィさんによって保護された
ギルドは
「ギルドの見解はどうなんだ?」
「我々ギルドとしてはオークの
「……妥当だな」
上から目線な感じが拭えないが、大方ラウルの言う通りで間違いない。ギルドの見解も順当そのもの。
だが、突然変異とはお粗末だ。根拠も脈絡もない。そう決めつけてしまった方が楽なのだろうけど。
だが、そのどちらにも当てはまらない部分もある。
「拘束具というのは?」
続けてレジーナが、その当てはまらない部分について問う。
「オークらしき魔物の口を覆った器具のようなものだとしか。ただ、
そもそも、口に装飾具なんて付けるだろうか。
拘束具と
「オークの国から逃げて来た罪人だったとか?はぐれオークってそうじゃないのか?」
トーリの言うことは的外れではない。しかし、何故だか馬鹿っぽく聞こえるのは「はぐれオーク」というもの自体が馬鹿馬鹿しい憶測に過ぎないからだ。
「そうじゃないわけじゃないかな」
「どういうこと?」
「そうだな……『はぐれオーク』っていう言葉自体、人間が勝手にそう解釈しただけなんだよ。王都から北西の方向にオークの国があるというのはトーリも知ってるよね?」
「あるらしいね。俺は行ったことないけど」
「そこが大事。歴史的な文献にオークの国があるとされてるだけで、人間が訪れたという記録は残ってない。魔族が絶滅して、人間とオークで生存圏が分断され、何百年もの間、互いに干渉し合わないことで世界の均衡は保たれていて……」
メリィに袖を引かれて正気に戻った。
良くないなぁと真っ先に思うものの時既に遅い。
魔族や魔物についての知識は一通り頭の中に入っている。
代々受け継がれてきた研究資料や文献の多くを、故郷に定住するようになってから毎日のように読み漁っていた。子供の時に両親から教えてもらった以上の知識を最近になって知ったのだ。
我ながら誰かに話したい気持ちが先行してしまったのかもしれない。
まじで余計なことをしてしまった。
「詳しいのだな」
「頭良いんですね」
「まぁ……」と返す言葉がそれしか見つからなかった。
「トーリ、そういうわけで『はぐれオーク』が自分の国から追放されたとか、罪人だったから逃げて来たとか、そんな理由付けは人間の憶測に過ぎないってこと」
最初からこうして結論だけを話していれば良かったものを。いやでも、この結論だけでは説明不足な感じもする。
やめよう。
こんなことを考えてしまうのは悪い癖だ。それでいいと割り切る癖もつけないとダメだ。
「はぁーそうなのかぁ」
理解したのか、してないのか、何とも分かりにくい言葉が返ってきた。だとしても理解したものと解釈してしまった方がいい。
「結局、行って相手にしてみなければ真実は分からないということだ。はぐれオークであれ、何であれ、やるべきことは一つ」
向かい合う部屋の中央、テーブルの前まで歩み出たクリスさんは改めて目的の大前提を口にする。
「
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