あとがき

 『源氏物語』を知らなかったら、わけわかんない話で、すみません。

 「夕霧の疑惑」って、松本清張っぽいタイトルですよね。つか、「の疑惑」って付けると、松本清張っぽいのかもしれない。「氷上の疑惑」とか。って、今、フィギュアスケートのグランプリファイナル見てます。


 大塚ひかり先生の「嫉妬と階級の『源氏物語』」(新潮新書)※塚は、点の付く異体字※を読んで、繰り返される「身代わり」って、おもしろいな~と思って、ずっと光源氏の子について、自分が思っていたことを、書いてみました。同じこと、書いてる人、いるんでしょうか。

 箸墓古墳の、箸で突いて死んだってゆーの、ある日、通勤途中に、「堕胎のメタファーでは?!」って、大発見!!って思ったのに、もう発見してる人がいて、がっかりしたことがあんねん。


 元々は、源氏物語の設定を現実に移して、文学部の大学生・夕霧くんが、大企業の社長・光源氏の愛人、スナック「ゆかり」のママとの一夜の過ちの寝物語みたいな話だったんです。

 明石の上は、光源氏が関西支社に左遷された時の同僚とか、女三の宮は、有力政治家の娘とか、こーゆーの考えてるの、私は、ひたすら楽しいです。


 本編で出て来なかった冷泉帝の父は、もちろん桐壺帝です。不義の子と、周りから疑われなかったのは、それなりに藤壺は桐壺帝と関係があったからだと思うんですね。

 光源氏の子どもについて、宿曜すくよう(占い)で「御子三人。帝、后かならず並びて生まれたまふべし。中の劣りは、太政大臣にて位を極むべし」って、第14巻で書いたのは、多分、須磨に流された光源氏が都に戻って来ました。めでたしめでたし。で、終わるつもりだったんじゃないかなあ。貴種流離譚きしゅりゅうりたんは、故郷に戻って来て、最終回でしょ。

 私は、『若紫』が一番最初に書かれた話だと思っています。継子物ままこものの真似事を書いてみたら、「私、小説、書けるんじゃない?」と、紫式部さんは思ったのではないかと。

 次は、菅原道真の大宰府左遷の真実を書きますです。菅原道真と紀友則=親友説って、誰か書いてます??


 大塚ひかり先生がお書きになっている『源氏物語』の少子については、御本をお読みください。『源氏物語』のあらすじや、複雑すぎる人間関係も、よくわかります。



 紫の上の初夜の翌朝とか、空蝉うつせみ落葉宮おちばのみやの拒否っぷりを見ると、ほんとに紫式部は、セックスというものが、ヤでヤで、しょーもなかったんだろうなと、私は思ってんですけど。来年の大河ドラマで、紫式部の結婚や、藤原道長との不倫は、どのように描かれるんでしょーね。

 ご本人は、1.000年以上、自分が書いたものが写し継がれてゆくことも、まさか自分が「ドラマ」というものの主役になるなんて思いもせずに、当時、鬱々と過ごされていたんだろうなあと、思います。

 今、書いてる紀貫之も、紀友則も、当時は、社会的にも、政治的にも、現代で言う負け組じゃないですか。

 けど、今、令和時代に、藤原時平、藤原忠平なんて名前、「誰?」だけど、百人一首は、未だに冬休みの宿題になってて、「あ~、その名前、その歌、何か覚えある~」くらいの知名度はあるじゃないですか。

 権力は没落したり、腐敗したり、滅亡したりするけど、文化の強度、すっげ~!と、私は思うんですよ。


 それでは、紀貫之の初恋話の続きを、さっさと書きます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夕霧の疑惑~源氏物語異文~ 善根 紅果 @yamaga-ruri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ