第4話 部活動はお決まりかな?

「そこのおふたりさま、部活動はお決まりかな?」


 眼鏡をかけた上級生が、人当たりの良い笑顔で声をかけてきた。

 僕と女の子は、それぞれ首を横に振って「いいえ」と答える。

 青年は僕らの反応を確認して、話を続ける。


「僕は魔法剣研究会の……部じゃなくて同好会なんだけどね? 僕はその会長をやっているんだ。キミたち、もし部活動が決まっていないなら、いっしょにどうかな?」


「へえ、研究会って言うと、魔法ついての? 剣技についての?」


「両方だね。年に一度の魔法剣士の全国大会を目指して、会員同士で意見交換するんだ」


「魔法と剣技の情報交換ですか! それはすばらしい集いですね!」


 女の子が、目を輝かせて「お誘いありがとうございます!」と答えた。


「でも待ってください。私と彼はこれから剣の手合わせをするんです」


「そうなのかい?」


「違います。そこの人が勝手に言っているだけです。僕は帰ります」


「ええっ!? 冷たい!?」


 だからそんなに全力で驚くなよ……断りにくいだろ……

 おろおろしている女の子。

 彼女をふびんに思ったのか、上級生の青年が口をはさむ。


「うーん、模擬試合をするなら教員の許可がいるよね。ちょうどいいから、すこしだけ、この学園のルールを説明してもいいかな?」


 天の助けだ! センキュー先輩! 僕は内心で先輩の良識を称えた。

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