第12話 交易船に同行
ギルドに入っていくと・・・
受付のとろで、男の子がしゃがみこんで泣いてる、えっ? ギルドに泣かされたの?
と、黙ってついてきていたワンちゃんが、<ワンワン>って、男の子のところに寄っていったね・・・・
「あれ?~ タロ? タロだぁ~ わあぁ~ん・・・タロが戻ってきたよ~」
・・・・ああ、やっぱりね、そういうこと?・・・よかったね。
「おお、ベス、戻ったか? どうだった? 話を聞こうか? それと、そのワンころは?」
「いえ、知りませんよ・・・」
「そうか? まあ良い、部屋に来てくれ・・・」
まあ、ちゃんと報告しましたよ、ギラン先生がね。
東の村々のあたりには、2か所、魔狼の集団の気配があったこと。
山の方の集団は40頭、そして海側の集団は20頭だが、海側のほうにはゴブリン30の群れがあったこと。
山側でも海側でも、村や村の人たちが襲われていたので、急遽対応してきたこと。
もちろん、ゴブリンの村も潰してきたこと。
「そうか~、お前さんたちに頼んで良かったよ、お疲れさん!
それで、持ち帰ったんだろ? 見せてくれるか?」
と、言われるので、裏の解体場にいって、いろいろ出したよ。
魔狼34頭、(6頭は村においてきてしまいました~)
魔狼20頭、これはゴブリンと一緒にいた奴らです。
ゴブリン27匹、村のゴブリンです。
大きなゴブリン3匹、首は離れてしまってます、キングとリーダーとジェネラルです。
魔石も取っていませんので、そのままです。
「おいおい・・・・冗談だろ? なんだぁ~この魔物の山は・・・」
「はい、村が襲われていましたので、対処してきた結果です」
「まあ、良い、分かった、ありがとう・・・あっ、報酬とかは、明日で良いか?
明日以降、いつでも良いから顔を出してくれや!」
「はい、分かりました、では、失礼します!」
ギルドの中に戻ったが、メソメソのケンタロウ君も元気になってるね、良かった。
と、タロが、私の所へ寄ってきて、身体を擦り付けてる? なになに? 私マーキングでもされてるの?
まあ、ヨシヨシって頭をなでてあげたらご主人様のところに戻っていったわね。
「あの~、お姉さん? 犬は好きなのか?」
「ああ、なにか懐かれたみたいね、良いワンちゃんだわ、大事にするのよ!」
「ああ・・・」
*夕食時
「ベス、どうだ最近は・・・」
「ええ、毎日、充実していますよ、お父様。地上の人間にもいろいろいるのですね。毎日、良い経験になっております」
「そうかそうか、まあ、あまり羽目を外して、ギラン殿に迷惑をかけないようにな」
「はい!」
「のう、ベス、明日は我が国の商人たちが、地上世界へ商談に向かうのだが、付いていくか? どうだ?」
「えっ? お父様? 私なんかが付いていってもよろしいのですか?
まあ、大丈夫じゃろ、ダグラスも護衛で付いていくからな、ダグラスの孫くらいにしておけばいいんじゃないのか? まだ、商人たちにはベスを秘密にしておきたいからの・・・のう? 大事なベスよ、どうじゃ?」
「はい、お父様、ベスは、いろいろ経験してみたいです。どうかよろしくお願いします」
「よしよし・・・寝坊するでないぞ!」
「はい! 一晩中寝ないでも平気ですから!」
「いやいや、ちゃんとしっかり寝るんだぞ! マリリンに起こしてもらいなさい」
「はい、そうします!」
・・・
「ベス様~ 起きないのですか~ ダグラス様もお待ちですよ~」
「うん? だれ? ダグラス? えっ? 近衛隊長が?~ 」
「はいはい、寝ぼけてないで、とっとと、シャワーを使ってくださいな~」
「あれれれ・・・・そうだ! 私! 今日はお出かけだった!~ 急がなきゃ・・・・」
「マリリン! 私はおきました! 急いでシャワーを使います! ダグラスさんにはもう少し待っていてもらえますか?」
「ふふふ・・・成功ですね・・・誰も待ってはいませんよ・・・ふふふ」
も~う~・・・大急ぎで、顔を洗って、身なりを整えて・・・
「お待たせ~・・・・」 って、あれ? マリリンさん? 待ち人は?
「はい、先ほど到着されまして、今、控えの間にいらっしゃいます」
「そう? こちらに案内してくださいな・・・」
「よお! ベスお嬢! 元気そうじゃの~」
「やあ、ベスお早う!」
あれ? ギラン先生も? 今到着したの? 私遅れていないの?
「ははは、お嬢は、マリリンの策にはめられたようじゃの、でも、良かったな、これで遅刻せずに済むだろ? まだまだ時間には余裕があるしの・・・
「なぁ~んだ、知ってましたとも、知ってましたよ・・・」
「ギラン先生、おはようございます、今日もよろしくお願いしますね。それと、ダグラスさんも、おはようございます。今日は私たちも連れていってくださいな」
「おう! 任せろ!」
「さあさ、皆さま、軽く朝食を用意いたしましたので、こちらへお運びしましょうか?」
「ああ、マリリンさん、そうしてくれ、さあ、ベスも座れ!」
ギラン先生には、昨夜のうちに連絡はしておいたけど、お早いですね・・・
それで、どうやら、ギラン先生はダグラスさんの友人の冒険者で護衛、私はそのギラン先生の連れということで、同行するらしいよ。 商売にいくのよね? 良いのかな? そんな孫を連れていっても?・・
「ははは、心配せんでもええ! 儂も商人たちの護衛とはいえ、付いていくだけだし、前にも、商人たちの子供や孫も付いてきたこともあるしな・・・今回は、儂の親友のかつ護衛の孫だ、誰も文句を言うまいて。それに既に王からも、商人たちには連絡が伝わっておる」
なんか知らないけど、お父様たちで御膳建て?してくれてるらしい。
それで、私も船に乗り込んだけど、・・・あれ? これ、どうやって地上世界までいくの?
「ははは、お嬢! どうやっていくのか?なんて顔してるな? まあ、見てなさい」
王都の港から船が出港して・・・・一瞬で! 地上世界へ、しかも竜人岩も見える場所に移動したよ。
どうやら、船には、専用の「水転移」の魔石が仕組まれているらしい。これも、海竜様にお願いして、なんとかなったものだって・・・
しかも、この魔石には、悪意感知の魔法も組み込んであるから、該当者は船に乗れない、弾かれてしまうそうだよ・・・もちろん、みんな海竜様の加護を持っていないといけないよ。
だから、地上の人間達がこの船に乗りたいっていっても、乗れないよね~
そんなことで、地上の人たちがもし見てたとしても、私たちの船は、竜人岩の潮流の激しい沖から港に向かってくるんだってことくらいしかわからないらしい。
誰も、竜人岩には近づかないだろうしね・・・
しかも、しかもです! 今日の私は、私ではありません!
ギラン先生が私の見た目を変えてくれたんですよ。 金髪から濃い茶髪へ、目の玉は水色から茶色へ、背格好はそのままのおチビちゃんなんだけどね、服装も商人の家のお嬢さんっぽくしてくれてる。
うふふふ・・・こういうのも面白いわね・・・「
そうそう、今日の私は、アヤだよ。みんな~ 間違えないでよね! って言ったら、
「お嬢、一番間違えそうなのは、お嬢じゃぁないのか?」
も~う~、ダグラスさんったら・・・・
もちろん、ギラン先生も変装してるよ。茶髪、茶眼で、何と30歳くらいの青年に若返ってる! なかなな美男子・・・ 私のお父さんの設定なんだって・・・・ うん、良いかも! 孫役から娘役に変身だね!
「お父さん!今日は楽しみだね!~~」
「ははは、ベス? よろしくね?」
「はい、お父さん! ベスじゃぁないよ~だ!」
<ベスも、人や魔物退治などで、またレベルが上がってきたな・・・>
▶ベス
・レベル 1000ー>1200ー>1500 (公開120)
・魔力 1200ー>1500ー>1800 (公開150)
船の中で・・・・ダニエルさんは、商人たちと歓談中・・・まあ、軽くやってるけど、良いの? 悪酔いしないでよね~ 今日は商談するんじゃないのかな?
なので、私は、ギラン先生、お父さんと船の中にいる。
「ねえ、おとうさん、私にも「変化」使えるかなぁ~ 使いたいなぁ~」
「ああ、それな・・・今度海竜様にお願いしてみれば?」
「そう? なら・・・そうする!」
「あとね・・・魔物をやっつける時にね、あまり血を見たくはないのよね~ 光射でシュッって穴開けちゃえば良いんだけど、もう一個くらい何か・・・ない?」
「ははは、今さら、何を言ってるのやら・・・・既に与えてあるでしょ?」
「えっ! 何! なんだっけ?・・・」
「闇炎、持ってるでしょ? あれを軽くあててやれば? 強いと、燃えちゃうけどね・・・ う~ん、ベスでも使えるものかぁ~・・・ そうか、相手の脳だけを破壊するってのはどう? 血が噴き出すことは無いね、きっと・・・」
「お父さん! それ! そういうの! どうするの?」
「まあ、闇魔法だけど、名前を付けるなら、闇殺(あんさつ)ってところかな。
相手の頭に向けて撃てば、脳だけを破壊できるもの・・・脳だけを闇炎で一瞬でミイラ化するものだよ」
*闇魔法・闇殺 を取得
「一応言っておきますけど、私は・・無暗に使おうとは思っていませんけど・・・いざって時にね、静かに死んでいって欲しいと思うの、出来れば、苦痛もないままにね・・・」
「ははは、ベス? 恐ろしいね・・・人に使っては駄目だよ、あと、これは闇魔法だからね、秘密!で・・・」
「はい、ありがとうございます、先生! いえ・・・お父さん!」
実はもう一つ教えてもらった。
*闇魔法・気絶
これは、闇殺の軽いもので、相手の意識を狩るもの、瞬間、敵を気絶させることができる。
催眠で眠らせるよりも一瞬だよ。こちらは、脳を損傷することはないもの。
・・・ということで、今日は、冒険者カードは使えないわね、でも、皆さんと一緒に検問を通れるのかな?
はい! 通れました。検問もパスです。
交易商人たちに発行されているらしい証明書があったようです。
あとは、ダグラスさんの顔パスが意外と効果的だったみたい。
今日は、集団行動だし、何と言っても私たちは付録?みたいなものだからね・・・みなさんの後を付いていってるよ。
冒険者ギルドが見えてきたけど、私・・・バレないよね? 変装してるし。
今日はその隣の商業ギルドへ、ゾロゾロゾロ・・・ってみんなで入っていきます。
いきなり大きな別室に通されて、私も、隅の方でチョコンって座らせてもらえました。おとなしくしています。
交易商人の代表の人がまず挨拶をしています。
「・・・一か月振りの訪問となりました、今回も良い取引が出来ますことを!
なお、本日は、護衛の近衛隊長の友人で冒険者の親子を特別に、見学、研修に連れてきていますが、よろしくお願いします・・・・」
「ははは、こちらこそ、よろしくお願いします。見学ですな、構いません、まだ小さいのに熱心なことです、将来が楽しみですな・・・」
なんて言ってくれてるよ・・・私の安全が一応・・・保障されたみたい・・・
まずは、前回の訪問時に、欲しい物などをお互いに情報交換していて、それの取引が始まった。ほとんどは書類上で行われている。だって、商品はまだ船の中だしね。
特に実物があったほうが良いものだけ、少し実物見本として持ってきてるね・・・
私にとっては、特にこれは!ってものは無かったけど、こちらからは、深海サンゴの細い枝が出てたかな。でもあれから玉を作っても1cm玉が数個切り出せるくらいだよ?
そうか~ 太いサンゴや、大きなサンゴの玉って貴重なんだね・・・
あとは、地上の漁師たちではなかなか採れないような、大型のマグロやカジキ、大イカ、大タコそれに、深海の真珠が取引されているね・・・
話し合いも終わって、あとは、お互いに荷物を検品して引き渡すだけになったよ、これに時間がかかる。夕方近くまでかかるという。
そのあとは、商人さんたちが個別に、市場や店で欲しい物を購入するということで夕食の時間まで過ごして、こちらの商人さんたちとの会食が行われてお開きになるそうだよ。
私たちも、夕食までは自由時間になったので、・・・ならば、この姿ででかけましょう!
「アヤさん、アヤ!」って、ダクラスさんに呼ばれた。
うん? 最初、誰?を呼んでるの? アヤって人がいるんだ~ なんて思ってしまったけど、・・・・私のことじゃん!
「これを渡しておく、仮の身分証明書だ」
なんか、木の札にいろいろ掘り込んである。もちろん、マリアナ王国、エバマリン王国、両方の家紋まで刻んである。
何で? 木の札なの?
「ははは、それはな、アヤみたいなやつが、海に落としてしまっても・・・浮いてくるからな・・・」
まあ、良いですけど? 私は海なんかには落としませんから・・・
「はい、では、お預かりします、ダクラスさん、ありがとう!」
お父さんにも、私にもそれぞれ木札を渡してもらえた。
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